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モーツァルトオペラの序曲集・『劇場支配人』序曲


暫く更新が止まっておりました。読んでいただいた方々すみません。

二泊二日で韓国に行ってきました。

仕事ではなくプライベートです。

中々おもしろいことがあって書きたいこともあります。

でも今は帰り立てで、頭の中が整理できてからの方が面白いと思うので、その話はまた別の機会に述べるとします。

今日は最近よく聴いているCDのことを書きたいと思います。



このCDは、モーツァルトのオペラの序曲集です。

モーツァルト・オペラの序曲は傑作揃いです。

コンサートでも、よく序曲だけが取り上げられて演奏されます。


このCDには、『フィガロの結婚』、『ドン・ジョバンニ』、『魔笛』、『コジ・ファン・トゥッテ』などの傑作オペラだけでなく、『皇帝ティートの慈悲』、『後宮からの脱出』、『イドメネオ』など、次いで有名なもの、『劇場支配人』、『ルーチョ・シルラ』、『偽の女庭師』、『牧人の王』などほとんど上演されないものも含めて全11曲が収録されています。



私は何故かずっと『劇場支配人』というオペラがとても気になっていたのです。


まず、このタイトルに惹かれました。

どんなオペラなんだろう。

私はまだ見ぬモーツァルトオペラの「知られざる傑作」を夢見ていました。

それはきっと「埋もれた宝石」に違いない…

興行の許可を得た支配人フランクのもとへ、次々と俳優たちが売り込みにやってくる。銀行家は自分の愛人を売り込むし、俳優は得意の演技を披露する。そのうち歌手ヘルツ夫人が現れ、一曲歌った。シルバークラング嬢も一曲。それからテノールもやってきた。例によって二人のソプラノの主役争いが始まり、間にテノールが入って大混乱になる。それでもなんとか丸く収まり、仲良くやっていくことになった。(平凡社新書モーツァルトオペラのすべて』堀内修・著より引用)


そうか、そんな話だったのか〜。

この本には次のように書いてあります。『劇場支配人』は、オランダ提督来訪に際して、皇帝ヨーゼフ二世が、モーツァルトにドイツオペラを、モーツァルトのライバルであったサリエリにイタリアオペラを同時に注文して、趣向を凝らした歓待を演出したいという思いから生まれました。興行はどちらかといえばサリエリに軍配が上がったようでした。

このオペラは、オペラというよりも全一幕の音楽付の喜劇で、序曲と4曲から成っていて、上演されるとしても演奏会形式がほとんどだとか。

一流の歌手を揃えた演奏会の形式の方がこのオペラの性質に良く合っているのでしょう。


でもこの序曲はとても素晴らしいです。交響曲第41番「ジュピター」のような、という形容ができるくらい堂々としていて聴きごたえがあります。その立派さは、序曲の枠を超えています。


「知られざる傑作」でも「埋もれた宝石」でもありませんでしたが、

確かに、モーツァルトの知らなかった世界を感じることができました。


◇  ◇  ◇


『劇場支配人』はパッとしなかったようですが、その初演の翌年、モーツァルトは『フィガロの結婚』(1786年)という大傑作を生み出します。

そして、『ドン・ジョバンニ』(1787年)、『コジ・ファン・トゥッテ』(1790年)、『魔笛』(1791年)を完成させ、『皇帝ティートの慈悲』(1791年)でオペラ作曲に終止符を打ちました。

そして、同年、35歳の短すぎる生涯を閉じました。


◇  ◇  ◇


序曲ばかりを集めたCDなんて贅沢だな〜なんて思いつつ、


このCDを続けて聴くと、妙な気分になります。

それぞれの曲が持っている雰囲気が違いすぎるためです。

例えば、『ドン・ジョバンンニ』の後に、『魔笛』。

あまりにも違う世界に耳は驚き脳が拒否何脳を起こします。



そこで、こんな聴き方はどうでしょうか。



例えば、一日の始まりに一曲、序曲を聴いて、

「これからオペラが始まるんだ」という期待を持ちながら聴く、というのは。