「深刻」ショスタコーヴィチ・交響曲第5番
今日もショスタコーヴィチ。
なんだか、このブログはまったく世の中の流れを無視して書いていますね。
読んでいただいてる方々、お付き合いいただきありがとうございます。
さて、今日は交響曲。
ショスタコーヴィチの代表作にして、交響曲史上の傑作のひとつでもある交響曲第5番について。
5番。
クラシックファンにはよく知られていることですが、5番目の交響曲には傑作が多いのです。
例えば、
ベートーヴェンの第5は、日本では『運命』として知られているし、
チャイコフスキーの5番、
ブルックナーの5番、
マーラーの5番、
プロコフィエフの5番、
シベリウスの5番、
など、傑作揃いです。
5番を代表作とする作曲家はとても多いのです。
このように重なると、偶然として片付けられず、数の魔力とも呼びたくなります。
◇ ◇ ◇
「深刻」としかいいようのない曲ですが、彼の作品のなかでは比較的聴きやすい曲です。
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ショスタコーヴィチと、ソ連共産党との関係は極めて難しいものだったようです。
作曲家の芸術的な理想と創造力。
きちんと「社会主義」的な作品を書いているか監視する国家。
昨日も書いたように、彼は厳しい制限の中での理想を追い求めました。
こうした「鬱屈」、「屈折」こそ、ショスタコーヴィチの特色だと思いますし、作品の魅力だと思います。
◇ ◇ ◇
この曲は形式は古典的な四楽章形式です。
最終的に、ベートーヴェンの第5番交響曲のように、勝利で終わる曲なのですが、そこに至る道筋が何とも非常にグロテスクです。
また、フィナーレの最後の勝利にしても、唐突に訪れる感が否めません。
このフィナーレを、「強制された歓喜」ととるか、「勝利」ととるか、作曲家自身の言葉を見てもはっきりせず、現在でも解釈が分かれているそうです。
私はこのフィナーレは、「パロディ」に見えます。
マスコミを通じて見えてくる「他国の政治」は、当然、大真面目でまた深刻なのが理解できるのですが、「パロディ」としか言いようがないときがあります。
しかし、音楽は大変に素晴らしく、そんなことを考えさせる余裕もなく進行していきます。
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バーンスタイン指揮のものなど他にも名演揃いですが、この曲を初演したムラヴィンスキーの指揮のものが一番、私は厳しくて好きです。ムラヴィンスキーのタクトは団員にはとても恐ろしく、まるで鞭を連想させたかもしれません。第四楽章の圧倒的なスピード感には悪魔が乗り移っているのではと思います。でも、こんな厳しい演奏を日常的に聴いていたんでは体が持ちません。だいたいは、ハイティンク指揮か、ゲルギエフ指揮のものを、i-podに入れて持ち歩いています。