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奇奇怪怪!?グスタフ・マーラーの世界


グスタフ・マーラー1860年7月7日-1911年5月18日)。


マーラー交響曲は魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界だ。


記憶の限界に挑戦するかのような複雑怪奇なメロディ。

平坦な旋律の中に突然大きな音が登場したりする。

楽器もギターやらトンカチ(!?)やら、変わったものが登場する。

これは一筋縄ではいかない。

派手に咆哮する金管

なまめかしい弦楽器。

音も洪水のようだ。


マーラー交響曲は、テクニシャン揃いのアメリカのオーケストラで聴きたい。

単純に旋律が素晴らしいとは言えないが、正真正銘の大人の音楽だ。


マーラー交響曲は魑魅魍魎の世界だ。

これは、私が初めてマーラーを聴いてから今に至るまで一貫した、この作曲家のイメージだ。


いまではショスタコーヴィチなどとも並んで、マーラー交響曲は、コンサートでも良く取り上げられているが、いまだに抵抗のある方は多いはずだ。


でもマーラー交響曲は、他のどんな作曲家とも違う独特なものなので、聴かず嫌いはもったいない。

きっと豊穣なリスニング体験をもたらしてくれるはずだ。

さて、マーラー交響曲にはどこから取り掛かろうか。


マーラー最初の交響曲、「巨人」という表題で知られる第1番?

ソプラノ独唱入りの第4番?

甘美な「アダージェット」のある第5番?

巨大な第2番「復活」?

それとも最後の作品である第9番にいきなり挑戦するか?


奇抜であるのを承知で、マーラーらしさを味わうなら第7番「夜の歌」という手もある。

「夜の歌」という表題は、マーラー自身が名づけたものではない。

マーラー自身は、第2楽章と第4楽章に「ナハトムジーク(夜曲)」というタイトルをつけたので、「夜の歌」はそこに由来する。


この曲は、2つのナハトムジークがスケルツォを挟む5楽章構成の曲だ。


第4楽章までは夜の気分を思わせる音楽。しかし対照的に第5楽章は、「いままでの楽章をどう総括するのか」という振り返りが一切なく、昼を思わせる明るい雰囲気で終わる。


この作品をどう評価するかは音楽学者の間でも解釈が分かれている。


◇  ◇  ◇


第7番「夜の歌」は、マーラー交響曲の中では比較的演奏される機会も少なく、マイナーな部類に入る。私はこの曲に対する確固としたイメージを持てているわけではないが、マーラー世界の複雑怪奇な広がりを十分に見せてくれる曲だと思う。


Symphony 7

Symphony 7


と日頃の愛聴盤を恐る恐る挙げてみる。


接近を拒むかのようなメロディ。

どこまで近づいて行っても決して親しみを見せない。

材料のわからないスープのようだ。


でもそれがとてもマーラーらしいと感じてしまう。


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