ゲルギエフ×PMFオーケストラin大阪2006・チャイコフスキー・交響曲第5番
久しぶりに大阪のシンフォニーホールに、クラシックのコンサートに行ってきた。
オーケストラはPMFオーケストラ。指揮者は、ワレリー・ゲルギエフ。
自ら芸術監督を務めるマリインスキー劇場及び同劇場管弦楽団との仕事に加え、ベルリンフィル、ウィーンフィルなど有名オーケストラへの客演、各地の音楽祭の監督、CD録音など、ゲルギエフの仕事量は怪物的だ。
彼は2007年1月にはロンドン交響楽団主席指揮者就任を控えている。
いま最も注目すべき指揮者のうちの一人だ。
パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)は、世界の若手音楽家の育成を目的とした国際教育音楽祭です。 20世紀を代表する音楽家、レナード・バーンスタインの提唱で1990年に始まり 、毎年夏、 日本の札幌を主会場に開かれています。
PMFの中心は、世界を代表する音楽家を教授陣に迎え、世界各地からオーディションで選ばれた若手音楽家を育成する教育プログラム「PMFアカデミー」。毎年、緑豊かな札幌芸術の森で、高い技術と豊富な経験を若手音楽家に伝える感動的な指導風景が繰り広げられます。
PMFアカデミーでは、「オーケストラコース」、「コンポジションコース」、「弦楽四重奏コース」を設け、7月に約4週間にわたる密度高いカリキュラムを実施します。
また世界的レベルの音楽指導を広く一般の方にも公開する「聴講生プログラム」や小・中・高校の音楽教師等を対象とした「教育セミナー」も開かれます。
PMFは札幌市を主体として設立された財団法人パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織委員会によって運営されており、多くの団体、企業、市民の協力で成り立っています。 グランドパートナーズ(特別支援企業)として、野村證券、松下電器、日本航空、トヨタ自動車が支援しています。
Pacific(パシフィック)は平和を意味しており、音楽教育を通じて世界平和を希求したバーンスタインの願いがこめられています。 毎年、国籍や言葉の壁を超えた交流とハーモニーが奏でられ、世界に広がっています。(PMF公式HPより引用)
PMFオーケストラは、常設のオーケストラではなく、いわば若手演奏家の教育を主な目的に創設されたトレーニングオーケストラ。メンバーは毎年オーディションで選ばれ、ウィーンフィルやベルリンフィルの主席奏者クラスからの指導を受けながら、各地でその成果を発表している。
今日は、そのPMFオーケストラの大阪演奏会だった。
曲目は、モーツァルトのファゴット協奏曲、ストラヴィンスキーのペトルーシュカ、チャイコフスキーの交響曲第5番だった。
◇ ◇ ◇
今日の演奏はブッ飛んでた。
なにしろ私はこの曲が好きなのだ。
チャイコフスキーの交響曲のなかで、4番、5番、6番は特別な位置にある傑作で、6番は「悲愴」という表題がついていることから最も有名な曲だが、その6番よりも私はこの曲が一番好きだ。
冒頭の暗い主題(とても暗い)がさまざまに変化して、最後には輝かしい勝利のフィナーレで締めくくられるという、交響曲のお手本のような作品だ。
何度聴いてもいい曲だな〜と思う。
今日の演奏はいま思い出しても鳥肌が立つくらいの、気がふれたような熱演だった。
ゲルギエフの指揮はエネルギッシュだった。
しかし勢いだけでなく暗譜で振るタクトは繊細かつ明晰。
第二楽章はとても美しかった。
何度聴いてもこんなに美しい旋律があるのかと思う。
パロディめいた第三楽章が終わり第四楽章へ。
もっと大きく、もっと豊かに。
指揮者のタクトに応えようとするオーケストラ。
破綻寸前のフィナーレ。
一歩間違うと、どころか、壊れ気味のハーモニー。
そして終わりを惜しむかのようにゆっくりとしたテンポで終わりを迎える。
最後の音が鳴り止むと同時にものすごい拍手。
これほどの拍手が起こるのは珍しい。
スタンディングオベーションはなかなか起こらないものだが、結構な人が立っていた。
◇
◇
◇
ここまでの熱中は常設のオーケストラでは得られないだろうな〜。
こんな演奏をしていたら身が持たないと思う。
熱演としか言いようがない。
狂気の一夜。
指揮者は息ひとつ切れていない。
オーケストラをここまで乗せてしまうカリスマ。
曲を見通す頭脳。
持久力。
前に、バレンボイムを神童モーツァルトに例えて「天才」というようなことを書いたが、ゲルギエフは、
「超人」
◇ ◇ ◇
今日は久し振りのコンサートで大満足の一日だった。
でも一枚ぐらい、CDも挙げておかないと、終わりに出来ない、眠れない。
- アーティスト: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ゲルギエフ(ワレリー),チャイコフスキー,ゲルギエフ(ワレリー),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2004/10/27
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対照的なこの二枚。ゲルギエフは超がつくほどの熱演。オーケストラはウィーンフィルだ。今日もウィーンフィルで聴きたかった…。ムラヴィンスキーは「き、きびしい。厳しすぎる」冷徹な凄演。それぞれのパート、弦も金管も木管もハーモニーがすごい。まるで一本の弦であるかのように、まるで一つの管であるかのように、高密度の演奏を聴かせる。「厳しい」。ムラヴィンスキーのタクトはまるで鞭だ。