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サイモン・ラトル×ベルリン・フィル×ホルスト『惑星』(「冥王星」付き)


「冥王星」が「惑星」から除外された翌日に国内盤が発売された、サイモン・ラトル指揮によるベルリン・フィル演奏のCD『惑星』が売れている。

初回1万枚の在庫が切れ、追加に1万枚オーダーが上がっているそうで、クラシックCDとしては久々のヒットとなる可能性が高い。


ホルスト:惑星(冥王星付き)

ホルスト:惑星(冥王星付き)


このCDはライブ録音による2枚組みのCDだ。


イギリスの作曲家グスターヴ・ホルスト(1874年9月21日-1934年5月25日)が作曲した、


「火星〜戦争をもたらす者」、「金星〜平和をもたらす者」、「水星〜翼のある使者」、「木星〜快楽をもたらす者」、「土星老いをもたらす者」、「天王星〜魔術師」、「海王星神秘主義者」の7曲からなる組曲『惑星』に、


コリン・マシューズによって2000年に作曲された『冥王星〜再生する者』(同年5月11日に初演)を加えた8曲が一枚目に。


2枚目のディスクには、指揮者サイモン・ラトルベルリン・フィルの委嘱により作曲された、

小惑星4179〜トゥータティス』(カイヤ・サーリアホ
オシリスに向かって』(マティアス・ピンチャー)
『セレス』(マーク=アンソニー・タネジ)・・・セレス!
『コマロフの墜落』(ブレット・ディーン)

の4曲が収録されている。


ホルストが『惑星』を作曲した当時、『冥王星』はまだ発見されていなかったので(1930年に発見)、組曲『惑星』は太陽と地球を除く7曲から成っていたのだが、発見後から惑星から除外される今年まで、組曲『惑星』に「冥王星」が入っていないことがクラシックファンには多少の違和感を感じさせるものだった。


結果的には冥王星は惑星から除外されるという結論に落ち着いたわけだが、この状況はまだまだ予断を許さない。


◇  ◇  ◇


このCDでは、『冥王星』以降の各曲はそれぞれ独立した曲として演奏されるが、この組み合わせは確信犯的だ。
冥王星」は惑星ではなく、dwarf planetという定義に落ち着いたが、より広くこのCDの意味を考えると、
「太陽系を題材としたコンセプトアルバム」ともいえる。


話題先行の雰囲気が強いがこのCD、とてもよくできている。
あっさりとした響きで見通しの良い演奏だ。
やや神経質だが打楽器の輪郭が明快だ。
これにより「火星」などではとくに前に進んでいく推進力が強く感じられる。

この指揮者に共通していることだが、重厚な表現を好まない軽快な表現だ。
派手さはないが、英国出身の作曲家ホルストにはこのような演奏が向いているのかもしれない。


このCDはよくできている。
これ以上にあっさりした演奏となると以前に紹介したノリントン指揮のものがある


(どれも素晴らしいが)アメリカのオーケストラによる『惑星』と聴き比べをしてみたいところだ。

ホルスト:惑星

ホルスト:惑星

このCDは、レヴァイン指揮によるシカゴ響の豪華絢爛たる金管ととびきり上手い弦楽器のハーモニーに酔う一枚だ。


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