うなぎ・北新地ひし好
一週間以上前だが、昼ご飯にうなぎを食べに行った。
午前中ルーチンワークをしていて、それがチマチマとした仕事だったりしたら、ダークサイドに陥りそうになる。
うまいものでもたべないとダークサイドに侵され、ダースベイダーになってしまう。
そうはならないために、昼は「北新地」に特上のうなぎを食べに行くことにした。
最低でも3000円くらいは覚悟しなければならないので、そんな殊勝な道楽に付き合ってくれたのは、一人の後輩だけだった(よく付き合ってくれたと思う)。
うなぎは、関東の食通が好む食べ物で、私は蕎麦とか寿司とかに相通ずるものを感じる。
関西では「まむし」といって、それはまた別の文化を持った食べ物としておいしい。
よく知られていることかもしれないが、うなぎの調理の仕方は関東と関西で違う。
関東ではいったん蒸してから焼く。
関西では直焼きだ。
うなぎの開き方も対照的で、関東の背開きに対して、関西では腹から割く。
武家社会の関東では、ハラキリ=切腹を連想させるので、腹から割くのは縁起が悪く、商業の町・大阪では、「腹を割って話をする」ところから、腹から割くという説がある。本当かどうか定かではない、説得力のない説だ。
◇ ◇ ◇
大阪の北新地にうなぎ屋さんがある。
私たちが行ったのはこの店だ。
「北新地うなぎひし好」というのが屋号で、大阪にあって関東風のうなぎを出す店だ。
だから、いったん蒸してから焼いている。
迷わずに特上の鰻丼を注文した。
高い方を選んでおけば間違いはない!?
待っている間に、南瓜の煮物が出てくる。
これがまたおいしい。
30〜40分ほど待っただろうか。
このくらいの待ち時間は、うなぎをその場でしっかりさばいている証拠なので、待たされたというよりもむしろ安心した、とさえいえる。
鰻丼が出てくる。
どんぶりがかなり大きい。
ご飯の量はそれほどでもなく、うなぎの大きさが結構ある。
大きめのうなぎをもちろん一匹まるごと使っている。
うなぎはとてもやわらかい。
これくらいやわらかいうなぎというのは珍しい。
タレは甘さのない、やや辛目のタレ。
実は私はもっと甘いタレが好きなのだが、甘いのが苦手な人にはこたえられないだろう。
昼は並が1700円。特上が2800円だ。
高級な「新地」相場を考慮すると、リーズナブルとさえいえるだろう。
日常的に通うにはちょっと無理があるが。