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ショパン・ピアノ協奏曲第1番(ピアノ六重奏版)


一昨日に続いてショパン


ショパンのピアノ協奏曲第1番にはとても興味深いCDがある。


それが、フランス人ピアニスト、ジャン・マルク・ルイサダのCDだ。

協奏曲がピアノ六重奏版にアレンジされ、ルイサダのピアノに、弦楽クインテット(五重奏団)の伴奏がつく。


ショパン:ピアノ協奏曲第1番&ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲


ジャン・マルク・ルイサダは、1958年生まれのフランス人のピアニストで、1985年の第11回ショパンコンクールで第5位の成績を収めた(このときの1位はスタニスラフ・ブーニン、5位には日本人ピアニストの小山美稚恵が入った)。


ショパンをはじめ、モーツァルトなどの古典から、シューマンなどのロマン派、ドビュッシーラヴェルなど近代フランス音楽へレパートリーを広げつつ、このCDのような意欲的な試みも続けている。


私が好きなピアニストのうちの一人だ。


このCDでは、オーケストラ曲が見事に室内楽曲となっている。

もちろん、ピアノのパートはほとんど同じなので、ピアノの美しさは存分に堪能できる。


ルイサダのピアノは詩情たっぷりで、まさにショパンが弾いているようだ。

テクニックの表現は控えめな感じだが、リズム感がよくて、軽やかさが伝わってくる。とくに第三楽章でそれを感じる。

音の輪郭がボヤ〜っとした感じなのだが、眠さはなく、むしろ格調の高さを感じる。


◇  ◇  ◇


ショパンのピアノ協奏曲は、オーケストラの伴奏がつまらないといわれてきた。

ピアノのための曲だから仕方がない気もするが、とりわけこういった声は演奏する側にあったと思うので、ルイサダのアプローチはとても面白い。

自分の演奏がそのパートを代表するものであったら、演奏する甲斐も一層あるというものだろう。


パリ時代のショパンは、こうしたサロン形式のコンサートをよく披露していたらしい。

協奏曲をするとなると大掛かりな人数が必要だが、この規模なら簡単だし、演奏する場所も選ばない。

ショパンに限らず、19世紀のパリでは、サロンコンサートが流行していたようだ。


ツィマーマンはオーケストラを大掛かりにいじることでこの曲の魅力を引き出したが、ルイサダはまた違ったアプローチでこの曲の魅力を引き出した。


19世紀の時代の息吹を感じるルイサダのCDだ。


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