ショパンのピアノ曲あれこれ〜バラードとノクターン
昔の話だが私の生まれた田舎のCDショップにはショパンはワルツ集しか売っていなかった。
いくらなんでも、とお思いかもしれないが本当の話だ。
地元のCDショップが情報源の全てで、インターネットもAmazonなどもない頃の話だから、ショパンはワルツの作曲家だいう誤解をしばらく持っていた。
(「情報」という面から見ると田舎というのは少年の成長にとって著しく不利だ)
もちろんショパンはワルツの作曲家ではなく、どちらかといえば、ワルツ曲はショパンの一面を代表するだけなのだが、大学に出てくるまでは、ショパンのピアノ曲というジャンルには巨大な地平が広がっていることを知らなかったのである。
◇ ◇ ◇
ショパンのピアノ曲の作品は多岐に渡っており、バラード、ノクターン、エチュード、ポロネーズ、スケルツォ、前奏曲、ソナタ、即興曲など、実に様々で、名曲も沢山ある。
「幻想即興曲」、「別れの曲」、「英雄ポロネーズ」、「ノクターン変ホ長調」は、とくに有名で、携帯の着メロにまで入っていたりする。
ベートーヴェンの時代には鍵盤楽器がいまのピアノほど進化しておらず、ショパンの時代になってようやく今のピアノと遜色ない性能のものが出てきたらしい。
だからショパンは、この新しい楽器のあらゆる可能性を様々に発揮して素晴らしい曲をいくつも書いた。
「ショパン以前」と、「ショパン以後」で、鍵盤楽器のための曲は大きく変わってしまった。
私はロックは聴かないが、1960年代のビートルズみたいなインパクトだったのだろうか。
私がショパンに惹かれる点は、感情表現の激しさと旋律の美しさだ。
孤独。焦燥。望郷。愛情。激情。失望。憎悪。
激しい。
人間の様々な感情が、ピアノの性能を極限まで駆使した技巧を通して生々しく表現されている。
ショパンのバラードはまさに大人のための音楽だ。1番から4番まであるが、私は4番を最も好んでいる。4番は子供お断りな雰囲気だ。適切ではないかもしれないが、日本語でいう「機微(きび)」という語彙を持ち出してしまう。そして暴力的とさえいえるほどの迫力のクライマックスに圧倒される。
そしてノクターン(夜想曲)。眠れないときにノクターンをかけていたりするのだが、表現の素晴らしさに感心して余計に眠れなくなるということも少なくない。
バラード
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ショパン「だけ」を聴き続けていくというのも悪くない。