ブラームス・ピアノ協奏曲第1番・スルメのような
ブラームスの最初のピアノ協奏曲。
チャイコフスキーやラフマニノフのピアノ協奏曲のように壮大ではない。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲のように優雅で勇ましくもない。
シューマンのピアノ協奏曲のように詩的でもない。
前三者のような華麗さはないが、質実剛健、重々しくてゴツゴツしていて、ブラームスらしい、岩の塊のような存在感をもった名曲だ。
ピアノ協奏曲第1番は、最初の交響曲(第1番)を書く前の初期の代表作だ。
同じブラームスのピアノ協奏曲でも、円熟の2番の方が完成度が高いといわれているが、私はこの1番のとんがり具合を結構、愛している。
聴けば聴くほど味のある名曲だ。
噛めば噛むほど味の出るスルメのような曲だ。
◇ ◇ ◇
ルービンシュタイン&メータの演奏を私は一番好んでいた。
若いメータ(当時)を従えた恰幅の良い演奏は、現代のピアニストとは一味もふた味も違う。
しかし録音状態が良くなかった。
それ以来、この曲にはベストなCDがないのが残念だったが、2005年にツィマーマンの新録音が出た。
- アーティスト: ツィマーマン(クリスティアン),ブラームス,ラトル(サイモン),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2005/11/02
- メディア: CD
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
新しい録音によって曲の素晴らしさが再認識された最良の例だ。
ツィマーマン&ラトル&ベルリン・フィルは現在考えられうる最強のコンビだ。
ツィマーマンは過去に、バーンスタインの指揮でこの曲を録音したCDがあり、それも名盤といえるが、新録音は、総合的に見ると新録音は、あらゆる面で旧盤を凌駕している。
なかでも優れているのは、ピアノとオーケストラのバランスで、音量、テンポともに抜群のコンビネーションで、余裕をもった姿勢は全く破綻を見せることがない。
終わりを惜しむかのように、第3楽章の最後はややテンポを落とす。フィナーレはゆったりと、壮大に終わる。これによりフィナーレがより堂々とした印象となる。このCDならではのものだ。
そういえば、ルービンシュタインのCDも最後はゆったりとしたテンポだった。
新しいツィマーマン&ラトルの演奏に、ルービンシュタインが見えた。
(↓人気ブログランキングはこちら)
人気blogランキングへ