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光文社新書『20世音楽』・『20世紀絵画』


私は本は大体Amazonで、しかも目的の本のみを買うので、普段、書店に殆ど行かない。

だからこんな意欲的な本が出ているとは知らなかった。

本を買わないにしても、情報収集のために週一くらいで書店に行っておいた方がいいかなと思った。


美術史研究者である宮下誠氏の著作で、新書にしておくのがもったいないほどの意欲作の2冊だ。


20世紀音楽 クラシックの運命 (光文社新書)

20世紀音楽 クラシックの運命 (光文社新書)

「20世紀音楽は、わたしたち人間とは何か、世界とは何か、生きるとは何か、あるいはよりよく生きるとは何か、なぜわたしたちは愛しあうのか…。そのような問いに答えようとしてきたのではないか。それは文学ほど具体的ではないかもしれないし、絵画をはじめとした造形芸術ほど直接的ではないかもしれないが、それでもなお、抽象的な音の連鎖に、音の戯れに、音の重なり合いに、あるいはそのひずみに、その屈折に、その絶叫のはざまに、世界と対峙し「わたくし」に問いかけようとする真摯できまじめな、わたしたちと同じ人間の肉声が聞こえてきはしないだろうか。20世紀クラシック音楽を俯瞰し、その展開と特質を描き出す。」(Amazonより引用)


20世紀絵画 モダニズム美術史を問い直す (光文社新書)

20世紀絵画 モダニズム美術史を問い直す (光文社新書)

「私たちは、ある絵画作品に出会い、そこに何が描かれているかを「再認」しえたとき、その絵を「わかる」という。しかし、なぜそれほどまでに私たちは絵を「わかろう」とするのだろうか?20世紀に描かれた絵画は、それ以前の絵画が思いもしなかった無数の認識をその背景に持っている。そして、絵とは具象/抽象の如何にかかわらず、作家のアイデンティティ、或いは民族のアイデンティティと深く結びつき、時代を映す鏡となり、私たちの「鏡像」となっているのだ。本書では「具象/抽象」「わかる/わからない」の二元論に終止符を打ち、“旧東独美術”も視野に収めた新しい解釈パラダイムを提案する。」(Amazonより引用)


◇  ◇  ◇


前者は、多くのクラシック音楽ガイドブックと違って、「現代」から遡って、20世紀のクラシック音楽を振り返ろうというもの。


この本で言う「20世紀音楽」というのは、クラシック音楽のなかで、いわゆる「現代音楽」と呼ばれている音楽ジャンルのことだ。


多くのクラシック音楽のガイドブックはお決まりのようにヴィヴァルディやJ.S.バッハから始まっているが、この本では現代音楽の側面からマーラーブルックナーを振り返りつつ、クラシック音楽の歴史的地理的な広がりを描く。


後者は、「好き嫌い」や「わかるわからない」を超えた絵画論が示されている。


美術史は著者の専門なのでやや難解な新書と言えるが、図版が多用されているので多少難しくても取り組む価値はある。


ピカソマティスの絵画はいまや古典といっても良いくらいの市民権を得ているが、それら「20世紀絵画」を「現代」から俯瞰しようというもの。


◇  ◇  ◇


とくに『20世紀音楽』は、知らない作曲家や身近でない作曲家が多数登場するので、クラシック音楽についてブログで書いている私にとって「恐怖の本」とさえいえるが、そんなことは別として、この本は私に強烈に迫ってきた。


「現代音楽、聴いてないの?」

と、言っている。


私はクラシック音楽でも、正真正銘の「現代音楽」といわれるものは殆ど触れずにきた。


でも挑戦してみる価値はありそうだ。

この本を読んでそう思った。


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