『琳派展IX「江戸琳派 抱一・其一の粋」』
『プライスコレクション−若冲と江戸絵画展』に行った勢いで、近くの細見美術館にまで足を伸ばした。
細見美術館は、2つの美術館と平安神宮のある文化ゾーンから、または八坂神社・祇園から、アクセスのしやすい、京都岡崎というロケーションにある。
古代から中世までの日本美術を主なコレクションとする私立の美術館だ。
「とっつきにくく」、「難しい」日本美術のコレクションでありながら、意欲的な企画展で知られ、展覧会のコピーのセンスも良い。
また、地下3階には、お洒落なカフェとミュージアムショップがあり、こちらの利用だけなら入場券は必要ない。
◇ ◇ ◇
今回は『琳派展IX「江戸琳派 抱一・其一の粋」』と題して、酒井抱一と鈴木其一の作品をメインに据えた展示。
吹き抜けの壁に沿って階段を下りるといくつかの展示室がある。
大規模な「プライスコレクション」を見た後では、こじんまりとした展示に見える。
でも落ち着きがあって(人が少なくて)じっくり見るには良い美術館だ。
館内の照明も、展示室自体の照明は抑え目で、展示品の鑑賞に適切な状態にされている。
美術館的というよりは茶室的で、日本美術を鑑賞するのにふさわしい空間のように思えた。
(細見美術館には茶室もある。)
酒井抱一と鈴木其一をメインとする江戸琳派の作品を、雰囲気のある灯りの下で堪能することができた。
◇ ◇ ◇
日本美術の知識のない私にとって、狩野派と琳派が、近世の日本美術史を見るうえでの両軸となっている。
琳派(りんぱ)とは、俵屋宗達に始まり尾形光琳が確立した、京都絵師の流派で、この展覧会のテーマだ。
同じ京都では、室町幕府以来の幕府の御用絵師を務める狩野派も活躍していた。
徳川家康が江戸に幕府を開くと、狩野派は江戸の狩野派と京都の狩野派の二つに割れる。
(互いが狩野派の正統を自負する。)
その後、京都では、円山応挙や伊藤若冲など、オリジナルな異端の絵が出現する。
そんな美術状況の中、光琳に学んだ酒井抱一とその弟子、鈴木其一は、江戸で琳派を再評価・継承・発展させた絵師だ。
…とかなり乱暴に振り返ってしまったが、『琳派展IX(9)「江戸琳派 抱一・其一の粋」』は、ここに位置する。
『プライスコレクション−若冲と江戸絵画展』の最後の展示「江戸の琳派」を補充する役を果たすことになった。
細見美術館でのこの展覧会は12月10日(日)まで開催されている。
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