シューマンのピアノ曲『森の情景』
シューマンのピアノ曲は『クライスレリアーナ』、『子供の情景』について書いたが、今日は『森の情景』について。
シューマンは、特定のジャンルを集中的に書くことで知られ、多くのピアノ曲は20代のときに集中して作曲されているが、『森の情景』は30代も半ばを過ぎて40才も近くなった頃に書かれた。
(『アラベスク』、『幻想小曲集』、『謝肉祭』など、シューマンのピアノ曲の代表作には20代の作品が多い。)
青年時代の鋭利な感性で書かれた『クライスレリアーナ』のような尖った作品も素晴らしいが、『森の情景』もまた違った意味で凄い。
自然に対する慈しみ(いつくしみ)の心が結実した愛すべき作品だ。
『森の情景』は全曲を通しても20分に満たない小品集で、次の9曲からなる。
・第1曲 森の入り口
・第2曲 待ち伏せる狩人
・第3曲 もの寂しい花たち
・第4曲 呪われた場所
・第5曲 親しげな風景
・第6曲 宿屋
・第7曲 予言者としての鳥
・第8曲 狩りの歌
・第9曲 別れ
◇ ◇ ◇
特別なことはないのに、それが特別だと思える曲だ。
例えば、演奏会で聴いたとしたら退屈かもしれない。
しかし静かな気持ちで一人で聴くのには最適だろう。
私は「森の入り口」、「もの寂しい花たち」、「狩りの歌」を愛してやまない。
詩的で、とても心地の良い自然の中にいるような錯覚を覚える。
『森の情景』を聴きながら眠りにおちて夢寐(むび)する。
そんなふうに聴くことができたら幸せだと思う。
- アーティスト: ピリス(マリア=ジョアオ),シューマン
- 出版社/メーカー: ポリドール
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- メディア: CD
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CDはピリスのものが特別だ。
満ち足りた気分になる。
心を打つのはテクニックではなく気持ちで弾いているからだ。
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