ラファウ・ブレハッチ≪オール・ショパン・プログラム≫
ラファウ・ブレハッチのリサイタルに行ってきた。
ラファウ・ブレハッチはポーランド人のピアニストで、2005年の第15回ショパン国際コンクールの優勝者だ。
会場は大阪のシンフォニーホール。一日中雨が降り続く悪天候にもかかわらず観客席は満員だった。
<オール・ショパン・プログラム>
バラード第3番(op.47)
24の前奏曲(op.28)より 第1番〜第12番
ポロネーズ第7番変イ長調「幻想」(op.61)
〜休憩〜
3つのマズルカ(op.50)
ピアノ・ソナタ第3番ロ短調(op.58)〜アンコール〜
4つのマズルカ(Op.17)よりマズルカ第11番
ワルツ第6番「小犬」
4つのマズルカ(Op.17)よりマズルカ第13番
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アンコールを含め全てショパンの曲で、しかも演奏レベルはいずれの曲も素晴らしく、ショパンファンには堪えられない一夜になったはずだ。
前奏曲、対照的な7番と8番。
静かな7番の余韻を打ち消すかのような8番の激しい始まり。
そして12番の迫力。
「幻想」ポロネーズは私が今まで聴いた演奏の中で一番良かったし、ピアノソナタも、プログラムの最後にふさわしい立派な演奏だった。
心に残る、印象的なリサイタルだった。
演奏を聴いていて頭の中に浮かんできたのが、ラン・ランというピアニスト。
ラン・ランは以前にこのブログでも書いた、中国人の若手ピアニストだ。
ラン・ランはアメリカ的なピアニストだが、ブレハッチはヨーロッパ、それもショパンの祖国であるポーランドのピアニストだということ。
テクニックの見せ方、舞台での振る舞いなどに、ラン・ランがショービジネス的な華やかさを見せるとすれば、ブレハッチはずっと控えめだ(テクニック自体は素晴らしい)。
繊細さと力強さの均整の取れた演奏はとてもクラシカルで、それはともすれば埋没しそうな個性だが、演奏に寄り添って聴いてみると貴重で無二の個性だということがわかる。
ショパンコンクール優勝という実績と比べた、ピアニストとしてのキャリアの浅さもあるのだろうが、それ以上に、ポーランドで研鑽を重ねたブレハッチと、アメリカをはじめ世界各国を飛び回るラン・ランのバックグランドの違いが、演奏のスタイルの違いをもたらしているのではないだろうか。
これはローカルか、インターナショナルかの違いで、どちらが良いとはいえないのだが、ショパンの演奏にはポーランドローカルなものを聴いてみたい気もする。
ブレハッチの演奏には燻し銀のようなものが見える。
底光りするようなものがショパンの祖国に生まれたブレハッチにある。
演奏もインターナショナル化するクラシック音楽の世界にあってそれはとても貴重なものだと思う。
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