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ベートーヴェンの牧人の歌・「田園」交響曲


ベートーヴェン交響曲第6番は「田園」("Pastral")の標題で知られている。


「田園」交響曲は、第5番「運命」(以下、第五)と同時期に作曲され、同じ日に初演された(どうでも良い話だが、初演当日は6番が5番として、5番が6番として演奏された。これは当日のプログラムの順番によるもので、その後、作品番号順の通り訂正された。)。


タイプの違うこの2曲が同時期に完成したことは、交響曲1番と2番から第3番「英雄」への飛び級のようなレベルアップとともに、ベートーベンの交響曲作曲史を飾るハイライトだと思う。


交響曲第6番ヘ長調(作品68)「田園」


第1楽章 田舎に到着したときの目覚めの気分

第2楽章 小川のほとりの情景

第3楽章 田舎の人々の楽しい集い

第4楽章 雷雨・嵐

第5楽章 牧人の歌・嵐の後の喜びと感謝

5楽章構成で、すべての各楽章に上記のような標題が付けられている。


第3楽章、第4楽章、第5楽章は続けて演奏される。

中でも第4楽章の激しい雷雨を思わせる音楽から、第5楽章の嵐の後の清々しい景色に移る場面。

私が一番好きな部分だ。


第五「運命」が聴き手にも緊張感を求める激烈激辛な曲であるのと対照的に、「田園」はベートーヴェン自然賛歌の気持ちが感じられる爽やかな楽曲だ。


しかし音楽的には、シンプルなメロディを積み上げていくことで複雑なフレーズが徐々に構成されていって、最終的に崇高な旋律となる点など、第五の「兄弟」とも言える音楽となっている。


この「兄弟」は容姿・性格は違うが、揃って傑作だ。


◇  ◇  ◇


CDはいくつもあるが、できれば録音状態の良いCDで聴きたい。


ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」・第6番「田園」

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」・第6番「田園」

まずはアバド盤から聴きたい。2000年という新しい録音だけあって音は最高。ダイナミックレンジが広く、目の前に田園風景が広がるはずだ。


ベートーヴェン : 交響曲第5番 「運命」&第6番 「田園」

ベートーヴェン : 交響曲第5番 「運命」&第6番 「田園」

ジンマン盤は、大げさに言えば、初めて聴く「田園」だ。その理由は使用楽譜が違うのからなのだが(ライナーノーツに詳細に書いてあったが詳しくは述べない。この楽譜を使用した初めての録音だそうだ。)、その効果ははっきりとわかる。例えば、耳慣れた音がスタッカートになるだけで全体の印象が変わる。いま聴いている「田園」のなかで一番好きなのがこのCDだ。


ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

ワルターの「田園」は、フルトヴェングラーの「運命」と同じように伝説的な一枚だ。私はこの演奏で育ったようなものだ。録音が1958年と古いので、いま聴いてみると音に艶やかさが不足気味かなとも思えるのだが、時々、原点回帰してしまう。


こう寒くなってくると「田園」どころではないのだが、少なくとも内面の世界では「田園」の中に遊んでみたい。


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