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『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子・著/講談社)


のだめカンタービレ』。


テレビドラマ化にも、2007年1月からのアニメ化にも無視を決め込んでいた。


手を出すまいと決めていたのだが、一気に10巻まで買って読んでしまった。

(手を出さずにいた理由は『のだめカンタービレ』が女性向マンガだという一点だけ。どうも買うのが恥ずかしい。抵抗がある。でも結局、Amazonで買った。)


で、読んだ感想だが「面白い」。

早く買っとけば良かった。


のだめカンタービレ(1) (講談社コミックスキス (368巻))

のだめカンタービレ(1) (講談社コミックスキス (368巻))


物語は次の二人を中心に進んでいく。


「のだめ」は主人公・野田恵(のだめぐみ)のあだ名で、音大のピアノ科の2年生。人よりも手が大きく超絶技巧の持ち主。その演奏は万人を魅了する。だがいわゆる「天然」キャラで音楽家を目指すという夢もない。楽譜が上手く読めず勝手気儘に弾いてしまう。同じ大学のピアノ科の先輩・千秋真一に惹かれる*1


のだめの先輩の千秋真一は、有名ピアニストの息子で、ピアノでもヴァイオリンでも一流だが指揮をやりたいと漠然と思っている。しかし彼は、少年時代のトラウマで飛行機に乗れない。つまり音楽を本格的に勉強するための海外留学ができない。才能を持て余していて、進路も定まっていない。そんな時、のだめのピアノが耳に入ってくる*2


のだめカンタービレ』は、この二人を中心に、クラシック音楽の世界(音大、オーケストラ、音楽留学、ヨーロッパ挑戦)で、音楽家という険しい道を目指す二人や仲間たちの成長と交流の様子などが描かれる。


クラシック音楽というと堅苦しいイメージがあるが、『のだめ』は、読んだ人ならわかると思うが、堅苦しいことはななし。基本的な路線はギャグマンガだ。


◇  ◇  ◇


音楽も効果的に使われている。


モーツァルトピアノソナタ第8番。オーボエ協奏曲。

ベートーヴェンでは、交響曲第3番と7番。ピアノソナタ第8番「悲愴」。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番

ブラームス交響曲第1番。

ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」

などなど。


クラシック音楽の名曲が効果的に使われていて、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番や、ブラームス交響曲第1番の回など、かなり迫力満点でおもしろかった。


演奏会の雰囲気がしっかり伝わってくる。


不安と緊張。自信。練習の成果。聴衆の反応。名演快演。


演奏会では「このコンサートは行かなくてもよかったな〜」という感想を持つことがあるが、逆に一世一代の名演が生まれることもある。


生だからやり直しがきかないためこういうことがあるのだが、素晴らしい演奏会に出会ってしまうとその魅力から逃れることはできない。


クラシックはCDも良いが、素晴らしい演奏会はその比ではない。


こういう会場の興奮や熱気、燃焼のようなものをこのマンガではしっかり伝えていて、「なるほどよく描かれてるな〜」と思うのだ。


私は楽器を演奏することができないので、これはリスナーサイドに立っての感想だが、オーケストラの人とかは『のだめ〜』についてどう思うのだろうか。


とはいえクラシック音楽の裾野が広がっていくのは悪いことではないだろう。


◇  ◇  ◇


のだめカンタービレ』からいくつかのCDを紹介したい。


ブラームス交響曲第1番

ブラームス:交響曲第1番

ブラームス:交響曲第1番

劇中の「R☆Sオーケストラ」(ライジングスター)の最初の演奏会のメイン曲がこの曲だった。劇中では熱演。熱演といえばこれ。ミュンシュ盤だ。ブラームスの1番といえばこれだった。→ブラームスの交響曲全集についてはコチラを。


ベートーヴェン交響曲第7番

ベートーヴェン:交響曲第5&7番

ベートーヴェン:交響曲第5&7番

踊るような名曲。天才指揮者クライバーによる名演。


モーツァルトオーボエ協奏曲

モーツァルト:オーボエ協奏曲

モーツァルト:オーボエ協奏曲

劇中の「R☆Sオーケストラ」(ライジングスター)の最初の演奏会の第1曲目。モーツァルトの協奏曲の中では、ピアノやフルートやクラリネットの協奏曲ほどの知名度はないが名曲。CDはベーム指揮のもの。


ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第2番

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調

劇中では、千秋がピアニストとしてシュトレーゼマンと共演したピアノ協奏曲の名曲中の名曲。リヒテル盤はロマン溢れるこの曲のイメージを決定付ける。→もっと新しいものがお好きな方はコチラを。


今日は定評ある「名盤」を選んでみた。


連載はまだまだ続き、ますます眼が離せないが、テレビドラマ版はちょっと苦しいと思うのは私だけだろうか。


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*1:物語冒頭の設定

*2:同上