ショスタコーヴィチ交響曲第7番「レニングラード
」ショスタコーヴィチの交響曲第7番は、第二次世界大戦の真っ只中、ナチスドイツに包囲されたレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)で作曲された。
「レニングラード包囲戦」をモチーフとしているこの作品は「レニングラード」と呼ばれている。
ショスタコーヴィチは、ソヴィエト社会主義を代表する作曲家だ。
ソヴィエトの「社会主義」が理想化されて語られていた時代もあったが、現実にはその「社会主義」は「理想社会」とは程遠かった。
実際は密告社会で、国家が個人の内面にまで踏み込んでくる社会だ。
国家による監視の目をかいくぐって、自由を制限された特殊な状況下で理想を描いたのがショスタコーヴィチだった。
交響曲第7番「レニングラード」は、東西冷戦期には、「ファシズムVS社会主義」、「資本主義VS社会主義」という闘争(と勝利)を描いたものとして理解されていたが、現在ではより広い意味で、「戦争を描いた作品」として聴かれている。
◇ ◇ ◇
以前に第5番をこのブログで書いたことがあったが、第7番もとにかくすごい迫力の曲だ。
第一楽章の「戦争の主題」がすごい。
ラヴェルのボレロのように、曲の進行とともに参加する楽器が増えていく。
控えめだった音量も次第に増大していって大音量となる。
この中で小太鼓の音が、まるで銃声のように響き渡る。
ダダダダダッダダダダダッ。
これは銃撃戦だ。
侵攻する部隊。銃撃。報復。応酬。
荒廃する都市。避難・逃亡する市民。
そんな光景が浮かんできて驚く。
戦慄。
恐怖が戦争映画のBGMのように迫ってくる。
全曲を通して聴きどころ満載のこの曲だが、私はこの「戦争の主題」の小太鼓が凄いと思う。
悲劇的で破滅的な人間の争いをこれほど鮮明にイメージできる曲を私は他に知らない。
◇ ◇ ◇
こういう曲を自宅で聴きたい時ってどんな時だろう?と考えると唸ってしまう。
- アーティスト: 大植英次,ショスタコーヴィチ,大阪フィルハーモニー交響楽団
- 出版社/メーカー: フォンテック
- 発売日: 2005/12/12
- メディア: CD
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大植英次氏の指揮・大阪フィル演奏のCDはライブ盤であることが信じられないほどのクオリティ。ドイツ風の重々しい演奏。大フィルの演奏能力はこんなに高かったのか!と唸る。ゲルギエフ盤は音のレンジが広く、華麗さも感じられる。どちらもこの曲の凄さを十分に感じさせてくれるCDだ。
私は、この第7番「レニングラード」に、現代の戦争をイメージする。
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