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年末の風物詩・ベートーヴェンの第九


2006年も残り1ヶ月を切った。


今日、年末に必要なものをいろいろ買いに行ったのだが、年の瀬というにはまだ早い時期だというのに、混んでいて何だか慌しかった。


師走だ。


12月の声を聞くとそろそろ「第九」ベートーヴェン交響曲第9番「合唱付」)の季節だ。


私は12月といえば「大掃除」、「除夜の鐘」や「年越しそば」よりも、第九を連想する。


コンサートホールのプログラムを見ると、例年のごとく第九のコンサートが連日のように開かれる。


この第九、クラシック音楽の本場・ヨーロッパでは、日本のように年末にばかり演奏されるものではなく、何かの節目、歴史の転換点などに演奏される祝典的な雰囲気を持った曲だ。


第二次大戦中に中断されていたバイロイト音楽祭が1951年に再開されたとき、指揮者フルトヴェングラーはこの曲を振った。フルトヴェングラー自身もナチスへの協力という嫌疑をかけられていたため、音楽活動の中断を余儀なくされていて復活ライブだった。

この時の演奏は録音されており、究極の名演として名高い。


祝典的な演奏としては関西では、佐渡裕氏が音楽監督を務める兵庫県立芸術文化センター杮落とし公演で、同氏が指揮するセンター常設オーケストラによる第九が披露された。


特別なときに演奏される、特別な曲だ。


◇  ◇  ◇


ベートーヴェン交響曲第9番「合唱付」は、第3番「英雄」第5番「運命」と並んで、ベートーヴェン交響曲の頂点をなす。


困難を立ち向かう人間の勇気を信じ、理性の勝利を歌う。


当時としては型破りであった合唱付きの交響曲で、第4楽章に大規模な合唱が登場する。


第1楽章と第2楽章は、第5番「運命」を思わせるような緊張感に満ちた音楽。

メロディはとても激しく勇ましい。


第3楽章は一転して優しい音楽となる。


そして第3楽章を打ち消すかのように、第4楽章にバリトンのソロが登場する。

おお友よ、このような音ではない!
我々はもっと心地よい
もっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか(Wikipediaより引用)


フィナーレでは歌と楽器が一体となって崇高な理想を歌う。

歌詞は同時代の詩人シラーの詩「歓喜によせて」が元だ。

抱き合おう、諸人(もろびと)よ!
この口づけを全世界に!
兄弟よ、この星空の上に
父なる神が住んでおられるに違いない(Wikipediaより引用)

諸人よ、ひざまついたか
世界よ、創造主を予感するか
星空の彼方に神を求めよ
星々の上に、神は必ず住みたもう(Wikipediaより引用)


ここでの「神」とは、宗教上の神ではなく、よりおおきなものを歌ったように思える。


この歌のテーマ、人類愛と表現しても良いかもしれない。


壮大な人類愛のような賛歌を歌った後、音楽は唐突に終わる。


これ以上のものが音楽では表現できないのか、唐突に終わる。


聴いた後は呆然、曲の存在感にとにかく圧倒される。


ベートーヴェン:交響曲第9番

ベートーヴェン:交響曲第9番

ベートーヴェン:交響曲第9番

ベートーヴェン:交響曲第9番

ベートーヴェン:交響曲第9番

ベートーヴェン:交響曲第9番


この曲は、コンサートホールで聴いたほうがずっと感動できるのだが、CDでもその雰囲気を味わうことは可能だ。

フルトヴェングラー盤は伝説のライブ。ただし音が非常に悪いので再生に工夫が必要だ。

ベーム盤は、最初にこの曲のCDを買ったのがこれだったこともあって、私にとってのスタンダード。演奏、独唱、合唱が今となっては古臭く感じるかもしれないが、いろいろなCDを聴いた後もこれに回帰する。

バレンボイム盤は、現代の名演奏といえる。音質も大変よい。


私は、どちらかといえば楽器のバランスが手に取るようにわかる分析的で軽い演奏の方を好むが、ベートーヴェンの第九については、重い演奏が好きだ。


巨匠的な、ドイツ風の、重厚な、という形容ができるような重々しい演奏でなければ、この曲を受け止められないのではないかと思ったりする。


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