『夢の美術館』・『ピカソの版画と陶芸』in 国立国際美術館
国立国際美術館に行ってきた。
ここの美術館には特別展が入れ替わる度に通っている。
今回は『夢の美術館』と『ピカソの版画と陶芸』。2つの展覧会が目当てだ。
『夢の美術館』展は、開催以来最初の休日だったので、結構な人出、駐車場を探すのに苦労する。
『夢の美術館』展は、国立国際美術館、天保山サントリーミュージアムに加え、開館予定の大阪市立近代美術館(現在は心斎橋準備室)の3つのミュージアムのコレクション展。副題に「大阪コレクション」とある。
近代アート、つまりセザンヌ、ピカソやモディリアーニ等から、マグリットやダリ、デ・キリコ、マックス・エルンスト、カンディンスキー、デュシャンなどのモダンアート、さらにはリヒターなどの現代アートまで、幅広く展示。クレーもあった。
普段は複数のミュージアムに分散している作品を、画家ごとに2〜3枚、時系列を追って鑑賞できるものもある。こういう集め方には感心する。複数枚あることで、その画家がその間に何を追っていたのか、絵の中に隠されたメッセージを読み取る楽しみが出来る。
例えば、ジョルジョ・モランディの2枚の静物画はよく似ていたが、2年後に描かれた新しいものの方が、物の輪郭がより不明瞭になっていて、同じような色が溶け合い、どこまでがコップで、どこからテーブルクロスで、どこからが背景なのか、より曖昧になっていた。率直に言えば「違和感」を感じる絵になっていた。
どうしてこういう絵になっていたのかの解釈は人によって様々だろうが、私は2年の月日が絵の中にはっきり見られる点が何より面白かった。
この2枚は、普段は別々の美術館に収められているので、この2枚を見ただけでも価値がある、と思った。
「大阪コレクション」と題するコレクション展だけあって、コンセプト展ではないので、「すごく知的で参考になる提案を受けた時のような新鮮な気持ち」を得ることは出来なかったが、おなかも胸もいっぱいになる展覧会だった。
あと、リヒターの作品は実際に見ることができてよかった。
◇ ◇ ◇
『ピカソの版画と陶芸』展は、銅版画、リトグラフ、リノカットによる版画と、水差しと皿などの陶芸作品の展覧会だった。
リノカットというのは、薄いゴムのような板を彫刻刀で彫って版をつくる版画の技法で、ピカソは晩年にこの方式にたどり着いたとのこと。
『帽子を被った女の胸像』。パブロ・ピカソ。
いま生まれた作品であるような鮮やかだ。
ピカソの作品は生命力に溢れているので見ていると元気になる。
老いても衰えない創造力。
人間、年じゃないな〜、と。
◇ ◇ ◇
美術館は中で歩くので結構疲れるが、精神的には多くの充足を得ることになるので私は時々行く。
本当はもっと空いていてゆっくり鑑賞できるほうが良いが、それは仕方がない。
受ける刺激は大きい。
どちらの展覧会も3月25日(日)まで開催しているので、興味のある方は是非。
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