「カルメン」組曲×チョン・ミュンフン×パリ・バスチーユ菅
メリメの同名小説を原作とするオペラ「カルメン」は、ジョルジュ・ビゼー作曲、フランス語オペラの傑作だ。
舞台はスペイン、タバコ工場で働くジプシーの女・カルメンに魅せられ翻弄され破滅に至る、衛兵ドン・ホセの物語だ。
CDは、そのオペラの「カルメン」ではなく、組曲の方だ(カップリングは組曲「アルルの女」)。
ビゼー:≪カルメン≫組曲 ≪アルルの女≫第1・2組曲/小組曲≪子供の遊び≫
- アーティスト: チョン・ミュンフン,ビゼー,パリ・バスティーユ管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2006/11/08
- メディア: CD
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オーケストラによる組曲は、作曲者のビゼー自身が残したものではなく、フリッツ・ホフマンの選曲・編曲による、第1組曲と第2組曲が有名。
このCDは、さらにそこから、パリ・バスチーユ菅の音楽監督時代のチョン・ミュンフン選曲によるひとつの組曲となっている。
携帯電話の着メロにも入っているくらい有名な前奏曲(組曲では「闘牛士」の部分)ほか、名曲ばかりが収められている。
◇ ◇ ◇
第1曲「闘牛士」。「カルメン」のなかで最も有名な曲。攻撃的な曲。そしてラテンの底抜けの明るさ。思わず走り出したくなる。
第2曲「前奏曲」。若い兵士ホセの未来に暗い影が見えるようで、不安感を抱かずにいられない。
第3曲「アラゴネーズ」。情熱的。フラメンコのようだ。
第4曲「衛兵の交代」。厳めしい中にどこかコミカルだ。
第5曲「間奏曲」。フルートとハープによるシンプルで幻想的な曲。
第6曲「セギディーリャ」。カルメンの魅惑的で軽妙なアリア。
第7曲「アルカラの竜騎兵」は心にずっしりと響く物悲しいスペイン風の民謡。
第8曲「ジプシーの踊り」。ただ愉しい。ぐんぐんスピードアップしていって最後はものすごい盛り上がりで曲が終わる。
はじけるようなリズム感。カラフルとしか表現しようのないオーケストラのキラキラした音色。目にも楽しい御馳走を前にした時のような鮮烈なインパクト。食べる前には期待。食べている最中は感動。食べた後は余韻。食べたかなり後には記憶がいつまでも残る。
パリ・バスチーユ菅の演奏はさすがお国もの。ドイツともイタリアともイギリスとも、アメリカとも日本とも違う、ラテン系の華やかで尖った演奏だ。
パリ・バスチーユ菅とチョン・ミュンフンの蜜月の時間は短かったが、その時の最良の成果の一つ。
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