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コバケン×アーネム・フィル×来日公演×大阪


炎の指揮者、コバケン(小林研一郎)擁するアーネム・フィルの来日公演に行ってきた。

(余談だが7月1日に大阪でローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団と共演予定だったアルゲリッチが来日中止だそうだ。お知らせのチラシが入っていた。公演自体がキャンセルではなく、ラヴェルのピアノ協奏曲をベートーヴェンの第5「運命」に変更するなど、プログラムを変更して開催される。他の会場はどうなのだろう。「差額返金」か「払い戻し」で対応するそうなので、詳しくはABCチケットセンターまで)


http://www.asahi.co.jp/symphony/symphony2007/c20070225.jpg

2月25日(日)14:00(大阪)ザ・シンフォニーホール

指揮:小林研一郎
ピアノ:清水和音
管弦楽:アーネムフィルハーモニー管弦楽団
◇プログラム
ベルリオーズ:序曲「宗教裁判官」
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
チャイコフスキー交響曲第5番ホ短調
≪アンコール≫
チャイコフスキー:ロシアの踊り(バレエ組曲くるみ割り人形」より)
チャイコフスキー:花のワルツ(バレエ組曲くるみ割り人形」より)


チャイコフスキー:交響曲第5番、「くるみ割り人形」組曲

チャイコフスキー:交響曲第5番、「くるみ割り人形」組曲


これはものすごい演奏会だった。チャイコフスキーの5番は、同じ指揮者・オーケストラによるCDが驚くべき熱演で、日頃そのCDをよく聴いているが(→CDについてのblogはこちら)、実演はそれをはるかに超えていた。


◇  ◇  ◇


コバケンは走って指揮台へと登場。指揮は全て暗譜による。全身がしなる。唸る。燃える。小柄な全身はバイタリティーの塊のよう。


ベルリオーズの「宗教裁判官」。圧倒的なフィナーレ。プログラムの最初にクセのある序曲を持ってきた。この曲を通じて、オーケストラと指揮者の自己紹介がされるようだ。こんなに厚みのある音を出すオーケストラだとは。しかもフットワークが機敏。


チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。ピアニストの清水和音さんはオーケストラを従える王の風格。落ち着き払ったタッチ。私が特に好きだったのは第3楽章。その時、私はステージではなくて違うものを見ているようだった。雄大さの感じられる音楽だ。実に堂々とした名演奏だった。


チャイコフスキー交響曲第5番。冒頭の「運命の動機」と呼ばれる主題から中間部の盛り上がりまで手綱を緩めずに前進する。アーネム・フィルの演奏レベルは予想以上だった。重厚。第2楽章のテンポ設定は細かく設計されていた。この楽章に登場する美しい旋律は非常にゆったり。「運命の動機」は非常に速かった。このスピード、かなり悲劇的だ。第3楽章のワルツ。身を任せる。第4楽章には答えがあった。「運命の動機」が輝かしい勝利となる。生の感動は、CDによる感動の全てを打ち破る。もちろん、そうなるには名演でなければならない。名演だった。聴き尽くされている5番に新しい生命を吹き込むコバケンの凄みがあった。


ヴァイオリンのハーモニーは美しく揃っていて、音色にもコクがあった。ファゴット、フルート、クラリネットの音色のまろやかさは特筆すべきものだった。


スタンディングオベーションは、指揮者が客席に語りかけ、促したようなものだったが、これはまさにスタンディングオベーションで応えるべき感動的な演奏だった。


コバケン×アーネム・フィルの来日公演は今日が初日。これから各地で感動をもたらすのか。


◇  ◇  ◇


■アーネム・フィル公演日程

2月25日(日)14:00(大阪)ザ・シンフォニーホール(ピアニスト:清水和音
2月26日(月)19:00(山口)サンビームやない(ピアニスト:清水和音
2月27日(火)19:00(松山)愛媛県県民文化会館(ヴァイオリニスト:千住真理子
3月1日(木)18:45(名古屋)愛知県芸術劇場(ピアニスト:清水和音
3月2日(金)19:00(札幌)札幌コンサートホールKitara(ヴァイオリニスト:千住真理子
3月3日(土)16:00(鎌倉)鎌倉芸術館ヴァイオリニスト:千住真理子
3月5日(月)19:00(東京)東京オペラシティーコンサートホール(ピアニスト:清水和音
3月6日(火)19:00(東京)サントリーホール(日本フィルと共演)
3月7日(水)19:00(東京)サントリーホール(ピアニスト:清水和音


■曲目

  • プログラム1

ベルリオーズ:序曲「宗教裁判官」
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
チャイコフスキー交響曲第5番ホ短調

  • プログラム2

ベルリオーズ:序曲「宗教裁判官」
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調
ベルリオーズ幻想交響曲

  • プログラム3(日本フィルとの共演)

スメタナ:連作交響詩『わが祖国』より「モルダウ
チャイコフスキー組曲くるみ割り人形
チャイコフスキー交響曲第5番ホ短調

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