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シューベルトの交響曲第9(8)番ハ長調「ザ・グレート」


「ザ・グレート」というのはシューベルトがつけた標題ではなく、同じハ長調交響曲である第6番との比較で、「大きい方」という意味を示すに過ぎない(第一、シューベルトなのに英語の標題なんて)。

小規模な作品の多いシューベルト交響曲の中にあって最長、演奏時間は60分に迫る。


マーラーブルックナーの作品のようにもっと長大で派手に楽器が活躍する曲は多いが、「ザ・グレート」にはひけらかしや大げさな部分はない。シューベルトらしく純粋で清廉な音楽となっている。


第1楽章。序奏のあと主旋律を支えるバックのすすり泣くようなヴァイオリンが好きだ。
第2楽章。哀愁を湛えた中欧的なメロディ。
第3楽章。スケルツォ。回転する車輪。美しい運動体。巻き込む。巻き込む。
第4楽章。繰り返される美しい旋律。テンポも揺らぐ。繰り返しと転調が、この曲がとても貴重なもので聴き終えたくないという気持ちにさせる。


つまるところ、この曲は美しい旋律の繰り返しが大きな要素をなしている。

大きさではなく、内面に豊かさを感じる曲。こういう音楽は心で聴きたい。


◇  ◇  ◇


シューベルト:交響曲第8番「未完成」/第9番「ザ・グレート」

シューベルト:交響曲第8番「未完成」/第9番「ザ・グレート」

ケルテス&ウィーン・フィルは、シューベルトロマン主義の作曲家であることを思い出させてくれる。歌うところは感情をこめて歌っていて、美しい旋律がさらに磨かれている。私が一番好きなのはこのケルテス盤だ。


シューベルト : 「未完成」&「ザ・グレート」

シューベルト : 「未完成」&「ザ・グレート」

ヴァント&ベルリン・フィルは、正確で厳格な演奏。ブルックナーかと思った。ぶっきらぼうで辛口だが、指揮・オーケストラともにこれ以上のものは考えられない。答えが欲しくてこの演奏を聴く、そんなCDだ。


シューベルト: 交響曲第9番「ザ・グレイト」

シューベルト: 交響曲第9番「ザ・グレイト」

ラトル&ベルリン・フィルは細かい。ディティールへのこだわり。場面切り替えの鮮やかさ。テンポ設定に尋常でない執着を持っている。秒間30フレームの動画が60フレームになったような鮮鋭度だ。ベルリン・フィルからは重厚さではなく新鮮さを感じる。


どれを選んでも問題はないし、フルトヴェングラーによる伝説的名盤もある。


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