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ベートーヴェンの三大ピアノソナタ「悲愴」「月光」「熱情」


ベートーヴェンの三大ピアノソナタというと、第8番「悲愴」、第14番「月光」、第23番「熱情」のことを指す。

「悲愴」以外はベートーヴェン自身が名づけた標題ではないが、よく知られた通称を持つ3曲がカップリングしやすいのか、CDが無数に販売されている。


■三大ピアノソナタ

バックハウス/ベートーヴェン:四大ピアノ・ソナタ集

バックハウス/ベートーヴェン:四大ピアノ・ソナタ集

ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番・第14番・第23番

ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番・第14番・第23番

ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番&第14番&第23番

ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番&第14番&第23番

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ベートーヴェン交響曲の録音をフルトヴェングラーの指揮を抜きに語れないのであれば、ピアノソナタではバックハウスがそんな存在かもしれない。音は悪く、愛想のかけらもない演奏。しかし突出した厳しさ(いかめしさ)に、ベートーヴェン自身が弾いているような錯覚に陥る。「ワルトシュタイン」も収録され、「四大ピアノソナタ集」となっている。辛口の演奏だ。
バレンボイム盤は、とりあえずこれがあれば他に入らない。音質も良い。ピアノソナタ全集からのセレクト。ポツポツとしたシンプルなピアノ。「バッハを弾くような」感じでベートーヴェンを弾いている、と思った。
ギレリス盤は、抜群のテクニックと、乾いた音質(録音)が、ピアノを聴くにはうってつけだ。ギレリスは全曲録音の完成を成し遂げぬまま亡くなったが、三大ピアノソナタは録音が残されている。少し前までCD店でも探しにくかったが、廉価版が発売されて買いやすくなった。


■第8番「悲愴」

ルイサダ・プレイズ・ベートーヴェン

ルイサダ・プレイズ・ベートーヴェン

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「悲愴」は、最近発売されたルイサダ盤が素晴らしい。ジャン=マルク・ルイサダチュニジア生まれのフランス人ピアニスト。華やかな音色だ。第1楽章から、テンポを大胆にいじっている。軽い足の運びのピアノ。第2楽章の美しさは絶品だ。「ロマン派のベートーヴェン」を聴いているようだ。ピアノ協奏曲第4番と、ピアノソナタ第30番とのカップリングで、こちらも素晴らしい。


■第14番「月光」

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番、第14番、第30番

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番、第14番、第30番

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「月光」プロジェクトと呼んで良いのではないだろうか。マリア・ジョアン・ピリスポルトガルの郊外、ベルガイシュに設立した文化センター。音楽家、音楽家の卵、研究者、技術者にとって、研究、教育、演奏、録音の拠点となっている。ジャケットデザイン、引用文、曲の解釈に、プロジェクトの所産が現れている。ジャケットが美しく、中に引用された名言も曲にぴったりだ。月の薄明かりのなか、彷徨うような朦朧としたピアノ。「幻想曲風ソナタ」というタイトルにとても相応しい演奏だ。


■第23番「熱情」

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第22番&第23番&第24番&第27番

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これ以上の「熱情」は思い浮かばない。情熱的でありながら、立派な建築物を思わせるポリーニのピアノ。「完璧だが冷たい」と形容されたのも昔のこと。ポリーニの録音では、私は1997年以降の録音にとりわけ惹かれる。ポリーニのピアノに緩みが出てきた。テクニックの破綻ととるか、円熟ととるか。私は円熟ととりたい。現在、巨匠という言葉が最も似合うピアニストだ。


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