モーツァルト・協奏交響曲(K.364)
ソロ楽器とオーケストラの調和が楽しく、メロディも美しいので、「今日は特にこれを聴きたい」というものがないときに結構聴いている。
◇ ◇ ◇
マンハイム・パリ旅行から帰郷したモーツァルトは、ザルツブルク宮廷にオルガニストとして復職する。
旅行中に最愛の母を亡くした傷心を引きずる帰郷だった。
協奏交響曲は、モーツァルトのザルツブルク復帰時代、1779年、24歳の時の作品だ。
タイトルに交響曲と付くが、実際は協奏曲に近く「ヴァイオリンとヴィオラによる二重協奏曲」といってよい(モーツァルトにはもう一つ、K.297Bの作品番号をもつ協奏交響曲もあるが、こちらの方は楽譜が失われ、真作か偽作か判明していない)。
ソロ楽器であるヴァイオリンやヴィオラと、オーケストラとの調和が素晴らしい名曲だ。
また、ヴィオラが半音高く調律されているためヴァイオリンと音色が近く、両者の掛け合いも聴きどころとなっている。
第1楽章はポジティブなメロディ。ヴァイオリンとヴィオラの掛け合い、オーケストラとの協調が見事だ。
第2楽章の陰影を湛えた美しさは例えようもなく、モーツァルトの悲しみにシンクロする。
第3楽章の立ち直りは悲しみに耐えて気丈にスキップをするようで涙を誘う。
◇ ◇ ◇
- アーティスト: ベーム(カール),ブランディス(トーマス),カッポーネ(ジュスト),ライスター(カール),ザイフェルト(ゲルト),ピースク(ギュンター),モーツァルト,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,シュタインス(カール)
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2003/05/28
- メディア: CD
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ベーム盤は定番。私はこのCDで協奏交響曲と出会ったので、しっくりくる。ソリストよりも指揮者ベームが前面に出た名盤。この曲のスタンダードとしてこれからも聴き続けられるだろう。
- アーティスト: ムター(アンネ=ゾフィー),モーツァルト,ガルリツキー(ボリス),バシュメット(ユーリ),ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2005/10/05
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モーツァルト・イヤーのために企画・発売されたムター盤。2枚目CDに協奏交響曲が収録されている。ヴァイオリンがムター、ヴィオラがユーリ・バシュメットという現代を代表とするソリスト。ソリストが前面に出て、グッと香りが強い。表情の濃さとポジティブな音色。ムターの太く芳醇な音色は健在だ。二人のソリストのテクニックに驚嘆するCD。
- アーティスト: 五嶋みどり,モーツァルト,エッシェンバッハ(クリストフ),今井信子,北ドイツ放送交響楽団
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2004/11/17
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エッシェンバッハ指揮に、ヴァイオリンがMidori、ヴィオラが今井という組み合わせは、同じく現代を代表するソリストだが、ムター盤に比べると、弾きすぎていないというか、ニュートラル。しかし第2楽章、緊張感のあるヴァイオリンと、情念たっぷりに歌うヴィオラは上を凌駕していると思った。オーケストラ、北ドイツ放送響の燻るような響きも品位があって素晴らしい。
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