グスターボ・ドゥダメルのベートーヴェン5&7
新譜。評判の一枚。
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラと、指揮者グスターボ・ドゥダメルによるベートーヴェンの交響曲第5番「運命」と第7番。
・「今まで遭遇した中で、もっとも驚くべき才能を持つ指揮者だ」−サー・サイモン・ラトル
・「ドゥダメルと彼の若いオーケストラの音楽に対する情熱に、私は深い感銘を受けた」−クラウディオ・アバド
・「これほどエキサイティングな7番を聞いたのは何年かぶりだ」−ダニエル・バレンボイム
(ユニバーサル・クラシックスの公式ページより)
■輸入盤
- アーティスト: Ludwig van Beethoven,Gustavo Dudamel,Simón Bolívar Youth Orchestra
- 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
- 発売日: 2006/08/08
- メディア: CD
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- アーティスト: ドゥダメル(グスターヴォ),ベートーヴェン,シモン・ボリヴァル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2007/02/21
- メディア: CD
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◆シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ
人口2千6百万のベネズエラには、約130のユース・オーケストラ、約60の子供のオーケストラがあり、25万人の子供が音楽に参加している。これらのオーケストラとそのトレーニング・プログラムを管理する国家組織が「ベネズエラ青少年・児童オーケストラ全国制度財団」。1975年、ホセ・アントニオ・アブレウ博士がカラカスのガレージで11人の子供に音楽指導をしたことからスタートした。その頂点がシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ。犯罪が多発するベネズエラで「音楽は社会を変える力となる」という信念のもと、多くの子供たちを犯罪から守り、貧困層の子供たちに夢を与えている。1993年にユネスコの国際音楽賞を受賞。2006年の高松宮殿下記念世界文化賞の若手芸術家奨励制度に選考された。
(ユニバーサル・クラシックスの公式ページより)
名前を聞いたこともないオーケストラがこんな素晴らしい音楽をやるのかと思うと、驚きを禁じえない。しかもメンバーの多くはプロの音楽家ですらないのだから。
ドゥダメルは、17歳の時からこのオーケストラの音楽監督を務める。
長期にわたる信頼関係からか、細部にまで行き届いたコントロール。丁寧なフレージング。
この若い指揮者がオーケストラのドライブをここまで意識的にやれるのかと驚きを禁じえない。
オーケストラが指揮者に全面降伏、というか全幅の信頼感を持って演奏に勤しんでいる。
テンポ、音色、響き、和音、CDで聴く限り、正確で完璧な演奏だと思う。
クライマックスに向けて追い込んでいくようなテンポと、場面切り替え時の絶妙のタメは、カルロス・クライバー盤と似ている。
- アーティスト: クライバー(カルロス),ベートーヴェン,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2002/09/25
- メディア: CD
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◇ ◇ ◇
デビュー盤とは思えないほどの高い完成度だが、第5よりも第7の出来の方が勝っているように感じた。
第7の持つ祝祭的な雰囲気と、このオーケストラの特徴が実によく合っている。
瑞々しくて正確。第4楽章、ブレーキが壊れたかのような非常に速いテンポがよい。
しかし第5にはプラスアルファを望む。もっと劇的な勝利が欲しい。陶酔と歓喜が欲しい。クライバー盤にはそれがあった。残念ながらドゥダメル盤はそこまでの領域には達していない。それにはより高い表現力をもつオーケストラが必要だ。
2007/08シーズンからエーテボリ交響楽団の首席指揮者となるドゥダメル。さらなる高みに到達できるか。
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