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チョン・ミョンフン&フランス国立放送フィル


コンサートに行ってきた。


会場は大阪のフェスティバルホールで、チョン・ミョンフン氏が自らが音楽監督を務めるフランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団を率いての公演だった。


チョン氏の指揮は、随分前に京都コンサートホールで東京フィルを振ったのを見て以来だ(この時の演目は「トリスタンとイゾルデ前奏曲」と「英雄の生涯」だったが、気の毒なほど客入りが悪かった。興行としては大失敗だっただろう。客席は3割ほどしか埋まっていなかった)。


フランスのオーケストラということでラヴェルフォーレはお国ものだし、ストラヴィンスキーの難曲をどう料理してみせるか、非常に楽しみにしていたコンサートだった。


http://www.festivalhall.jp/img/kokusai2007/france.jpg
フェスティバルホールのHPより)

指揮:チョン・ミョンフン
演奏:フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団
曲目:
フォーレ組曲ペレアスとメリザリンド」作品80
前奏曲/糸を紡ぐ女/シシリエンヌ/メリザンドの死)
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」組曲第2番
(夜明け/パントマイム/全員の踊り)
ストラヴィンスキー:舞踊組曲春の祭典
〜アンコール〜
ビゼー:オペラ『カルメン』第1幕への前奏曲より「闘牛士


そしてコンサートは、期待に違わず素晴らしいものだった。


ペレアスとメリザリンド」。よかったが、最初の曲だけにセーブしているような感じを受けた。会場のノリも今ひとつ。私の最前列近くの真ん中あたりで、目の前は第1ヴァイオリン。視界にはコンサートマスターの足もと。全体を見通すには難点だが、弦を味わうには最良のポジションだった。弦が何ともいえない美しさを奏でていた。


「ダフニスとクロエ」は、私がこの曲を好きなこともあり素晴らしかった。ヴァイオリン、チェロの首席奏者の音色と、それに率いられるパートの和音が素晴らしかった。和音がビシッと揃っているというのとは違って、微妙なブレがあるというか、遊びの部分を含んでいるようで、艶やかで官能的だった。フィナーレはバッチリ決まった(揃った)。指揮者も満足そうだった。


春の祭典」は凄まじい熱演だった。この曲は「春の祭典」というメルヘンチックな標題とは裏腹に、異教徒が神の怒りを静めるためのの生贄の儀式を描いた、暴力的で野性的な曲だ。フランス国立放送フィルは、この曲の名演を残して不思議はない、パワフルかつ繊細な表現力を持つオーケストラだということがわかった。これは音楽のフォービズムだ。原始的なリズム。爆発的な音量。目玉が飛び出しそうな金管の迫力。推進力。後ろを振り返らずにズンズン進められる「儀式」は鳥肌ものだった。チョン氏が生贄の儀式を司る厳格な祭司に見えた。


難曲揃いのプログラムだったが、チョン氏はすべて暗譜で指揮。一人の人間が、ここまで見事にオーケストラをコントロールできるものか。細部の表現に至るまで掌握。複雑なリズムを指揮棒、指、腕、上半身、膝、頭など体全体を使ってコントロールする。やはり傑出した指揮者だ。


破綻しない熱演というのは凄い。


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