プロコフィエフの交響曲第5番×レヴァイン×デュトワ
ラヴェル並みの煌(きら)びやかな管弦楽のアレンジ能力と、ショスタコーヴィチのような前衛性を併せ持つロシアの作曲家がプロコフィエフだ。
また生涯にわたる作風の変化については凄いものがあって、最先端を追いかけた作曲家なのだと思う。例えば非常に古典的な交響曲第1番と、今日触れる交響曲第5番は同じ作曲家の作品とは思えないほどの変貌振りだ。
プロコフィエフの楽曲は前衛的とはいっても、ショスタコーヴィチのような深刻さよりは、軽妙なユーモアが感じられる曲が多くて、聴きやすい曲が多いと思う。
チャイコフスキーやラフマニノフほど甘くなく、ショスタコーヴィチほど苦くない。
◇ ◇ ◇
そしてプロコフィエフの交響曲第5番。スピード感が抜群で、少し神経質で、緊張感があって、さらにコミカルな部分もあって、とても愉しい曲だ。
緩−急−緩−急のテンポをもつ4楽章構成のスタンダードな曲だ。
メロディは複雑で、いかにも「前衛的」ときいてイメージするような感じなのだが、独特のリズム感とスピードは、拒絶反応よりは熱中をもたらす。
聴き手の心拍数も上がる。
これはドライブに最適だと思って聴いたら非常に良かった。
ロックやポップスを聴いている人にも是非一度聴いてみてほしい。
CDは私はレヴァイン盤が一番好きだ。
- アーティスト: レヴァイン(ジェイムズ),プロコフィエフ,シカゴ交響楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2006/04/12
- メディア: CD
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レヴァインはアメリカ版のカラヤンだ。オーケストラを見事に鳴らせ、どんな曲でもゴージャズに仕上げる。レヴァイン自身は全然そんなことはないが、音楽は非常にスマートだ。しかもピカピカに光っている。天才肌の人なんだろう。だからもっと不健全さが欲しい暗い曲では不満も出てくるのだが、プロコフィエフの5番にはピッタリはまっている。何よりオーケストラを聴く魅力に溢れている。オーケストラはアメリカ最強のひとつ、シカゴ響だ。はねるようなリズム感が心地よい。豪華な音楽。すさまじい。とくに金管の素晴らしい迫力には何とも言えない。1番も併録。
もう少し迫力のない(うるさくない)演奏を聴きたい時は、デュトワ盤を聴く。
- アーティスト: モントリオール交響楽団,プロコフィエフ,デュトワ(シャルル)
- 出版社/メーカー: ポリドール
- 発売日: 1994/04/22
- メディア: CD
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音の厚みでレヴァイン盤に劣る。しかしスピード感はしっかりあって、きちんと最後まで盛り上げてくれる。小回りのきく車のようだ。金管では負けているが、弦パートの精度では勝っていると思う。しかも弦の残響がしっかり録音されている。繊細で洒脱。エスプリの感じられる演奏だ。1番も併録。
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