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ブルックナー・交響曲第8番


私はブルックナー交響曲の中では(全部好きだが強いて言えば)特に5番や7番を特に好んでいるが、規模と内容の深さから言って、8番が一番の傑作だと思う。


8番は、ブルックナー作品中の傑作であるだけにとどまらず、ベートーヴェンの第九「合唱」やブラームス交響曲全4曲、マーラーの第9などと並んで、交響曲というジャンルの中の傑作中の傑作だと思う。


演奏時間は90分に迫り、日常的に聴くにはとても長く、内容的にも厳しいとさえいえる音楽。

日常的に接するわけではないが、時々時間のあるときにまとめて聴くと、足元を固めて着実に歩いていこうと、聴き手の襟を正させるような素晴らしい曲だ。


◇  ◇  ◇


第1楽章。波乱に満ちた生涯を暗示するかのような陰鬱な冒頭。見通しがきかない。眼差しはは遠くを見つめている。


第2楽章。スケルツォ。眼前に聳える岸壁のようだ。雲に隠れ、頂が見えない。


第3楽章。アダージョブルックナーアダージョ楽章は6番などもそうだが非常に美しい音楽だ。ゴツゴツとしていて決して華麗ではないが、暗い中にそこはかとない美しさが感じられる。


第4楽章。これほど巨大な存在感を音楽に感じることがあるだろうか。フィナーレは人間的な泥臭いドラマではなくて、より大きなものの慈悲を受けて祝福されるような高揚感で終わる。とにかく圧倒される。


◇  ◇  ◇


■朝比奈盤

サントリーホールでのライブ。最初から最後まで、集中力が尋常ではない。バチバチいっていて火傷しそうだ。ゆったりとしたテンポで進む音楽はスケールが大きい。オーケストラの響きは分厚い。とにかく力いっぱい演奏している。相当な音量が出ていると思う。ライブ盤なので当然、拍手も入っているのだが、演奏終了から拍手までに間があるのが良い。おそらく当日の観客も演奏のあまりの素晴らしさに、しばらく拍手が出来ないくらい圧倒されたのではないだろうか。


チェリビダッケ

ブルックナー:交響曲第8番

ブルックナー:交響曲第8番

この曲の素晴らしさに気付かせてくれたのがチェリビダッケ盤だ。よく噛んで飲み込むような演奏だ。ゆったりとしたテンポで決して急がない。弦パートのハーモニーの美しさは特筆すべきものがある。


■ヴァント盤

ブルックナー:交響曲第8番

ブルックナー:交響曲第8番

圧倒的な朝比奈盤とチェリビダッケ盤に比べるとやや分が悪いように思う。(とくに朝比奈盤は演奏レベル云々を超えたプラスアルファを感じる。)楽譜に忠実なヴァントらしく、スマートで完璧な演奏で、演奏自体のクオリティは一番だ。スタンダードなブルックナー演奏として最高峰。金管が耳を突き刺すような録音バランスがやや難点。


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