熱いボレロ・冷たいボレロ
最もポピュラーなオーケストラ曲は、ラヴェルのボレロじゃないだろうか。
ベートーヴェンの第5「運命」なども冒頭部分は有名だが、全曲がすぐに浮かぶ曲というとボレロだろう。
同じリズム、同じメロディで、音楽の進行とともに参加する楽器がどんどん増えていき、音量が次第にクレッシェンドしていくというシンプルな曲だ。しかしフィナーレの熱狂は感動的で、コンサートなどで生で聴いた時の興奮ははかり知れない。
今日、久しぶりに聴いてみたら、改めて、素晴らしい音楽だと思った。楽器がそれぞれ個性を主張しながら美しいも調和を見せるこのカラフルな音楽は、まさしくフランス音楽。オーケストレーションの魔術師、ラヴェル。
- アーティスト: アバド(クラウディオ),ラヴェル,ロンドン交響楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2000/08/02
- メディア: CD
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アバドは歌心があって透明感のある響きを特徴とする指揮者だが、ロンドン響を振ったこのCDでは、かなり燃えている。熱い。今日、車で運転中に聴いていて、フィナーレで思わずガッツポーズをしてしまった。音量の変化がすごく、どのくらいすごいかと言えば、同じボリュームで聴いていて、最初聴こえないくらいだった音量が、最後には音量が出すぎじゃないかと思えるくらいの起伏の激しさだ。夜に家のオーディオで聴くと、ボリューム位置をどこに合わせるのか迷う。再生の仕方によっては音が割れる。この指揮はフルトヴェングラーかテンシュテットかと勘違いしそうな、熱い音楽だ。
- アーティスト: ナガノ(ケント),ラヴェル,ロンドン交響楽団
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2004/01/21
- メディア: CD
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同じロンドン響を振ってもケント・ナガノの音楽作りは全く違う。燃えていない。一言で言えば実直・真面目。躍動感ゼロ。初めてこのCDを聴いた時は、他のCDとの違いに驚いた。ボレロは熱狂的な音楽だが、これほど燃えていないボレロはある意味、すごい。熱狂を要素ごとに解剖したような、何と言うか医学的な演奏だ。
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