大植英次×大阪フィル・ベートーヴェン交響曲全曲演奏会I
今日は大フィル&大植英次さんによるベートーヴェン・チクルス(全曲演奏会)の第1回目だった。
2007年6月5日(火)18:00開場 19:00開演
大阪フィルハーモニー交響楽団 創立60周年記念公演
ベートーヴェン交響曲全曲演奏会I指 揮:大植 英次
曲 目:
ベートーヴェン:交響曲 第1番 ハ長調 作品21
ベートーヴェン:交響曲 第2番 ニ長調 作品36
ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 「英雄」 作品55
定期演奏会と違い1回公演ということもあって会場の入りはきわめて盛況。1F壁際、通路前の補助席も今日は全て埋まっていた。文句なしの満員だ。
◇ ◇ ◇
今日の使用楽譜は、デル・マー校訂のベーレンライター版とのこと。
オーケストラは第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置。コントラバスが奥にズラーッと横一列に並ぶ特殊な配置。一番大きな楽器が一番後ろに揃うのはなかなか壮観だ。いつだっけ?大フィルでは大植さん指揮の時にこの配置を見たことがある。
大植さんは、いつも通りすべて暗譜で通した。今日は最初から最後まで指揮棒を持たない指揮だった。
第1番。緻密な演奏だった。ジンマンのCDを思い出した。第2楽章の第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの対話のような掛け合いがとても綺麗だった。第3、4楽章は、ハイドンの作品のような軽妙さの感じられる新鮮な演奏だった。1曲目から印象はとてもよい。
第2番。1番よりは感情的で、熱さのある演奏だった。第2楽章。弱音、繊細な表現がとても美しかった。第3楽章、スケルツォ。雄弁な表現力だった。第4楽章はモーツァルトの短調の曲のような悲しさが見えた。この曲で終わりだったとしても満足して帰っただろう。十分堪能した演奏だった。
第3番「英雄」。トランペットの入りがやや急いで弦と合っていない部分があったが全般的には良かった。というよりも、こんな素晴らしい「英雄」を日本のオーケストラで聴けるとは、という傑出した演奏だった。コントラバスがとてもよく動いていた。底にべったりと張り付いているような感じだった。縁の下で支えるだけでなく、独特の表現力が際立っていた。ホルンも良かった。フルートも良かった(フルートは先週の定期演奏会もそうだったが絶好調だ)。第2楽章の葬送行進曲はとても素晴らしく涙が滲むほどだった。フィナーレも端整によくまとめていた。
全体的に言うと、若々しく、瑞々しさの感じられるベートーヴェンだったが、勢いに任せない精密な演奏だった。「緻密でいながら、しかもロマンチックな音楽を見せる」指揮者というのが常々私が大植さんに抱く印象だが、その印象は確固としたものになった。ゆったりドッシリでないベートーヴェン、とくに「英雄」では好き嫌いが分かれるかもしれないが、私は好きだ。支持する。
先週の2日間の定期演奏会(→そのブログはこちら)から続いていることもあってオーケストラはかなり疲れていただろうが、疲れを感じさせないパフォーマンスだった。
なかなか鳴り止まない拍手と、終わった後の団員の笑顔が印象的だった。
さて、本日開幕したベートーヴェン・チクルス。残りの3回も聴きどころ満載だ。
■4・5・6番
II◇8月31日(金) 19:00 ザ・シンフォニーホール 5/24(木) 一回券発売
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調「運命」
ベートーヴェン:交響曲第6番へ長調「田園」
料金:S席 7,000円 A席 6,000円 B席 4,500円 C席 3,500円
■7・8番
III◇11月29日(木) 19:00 ザ・シンフォニーホール 8/23(木) 一回券発売
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調
ベートーヴェン:交響曲第8番へ長調
料金:S席 7,000円 A席 6,000円 B席 4,500円 C席 3,500円
■9番
IV◇12月29日(土) 19:00 フェスティバルホール 9/25(火) 一回券発売
12月30日(日) 19:00 フェスティバルホール 9/25(火) 一回券発売
独唱:スザンネ・ベルンハート(S)、スザンネ・シェファー(A)、
シュテファン・ヴィンケ(T)、クリストフ・シュテフィンガー(B)
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
料金:S席 7,000円 A席 6,000円 B席 4,500円 C席 3,500円
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