プレトニョフ×ブレハッチ×ロシア・ナショナル管
昨日のうちに書きたかったのだが、久しぶりにビールを飲んだためか帰りの電車から睡魔が襲い、帰宅してすぐに熟睡してしまった。
1ヶ月ぶりくらいのビールだった。
◆ザ・シンフォニーホール開館25周年記念
ロシア・ナショナル管弦楽団2007年6月10日(日) ザ・シンフォニーホール
[指揮]ミハイル・プレトニョフ
[ピアノ]ラファウ・ブレハッチ
[管弦楽]ロシア・ナショナル管弦楽団
[曲目]
▽チャイコフスキー:幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
▽ショパン:ピアノ協奏曲第1番
《アンコール》
ショパン:マズルカ Op.17-No.2
〜休憩〜
▽チャイコフスキー:交響曲第5番
《アンコール》
チャイコフスキー:バレエ音楽「眠れる森の美女」よりワルツ
ハチャトゥリアン:バレエ音楽「ガイーヌ」よりレズギンカ
ロシアの才人・プレトニョフの指揮に、ショパンコンクールの覇者、ラファウ・ブレハッチがソリストとして登場するので、以前から非常に楽しみにしていた。ブレハッチは去年のリサイタル以来だ(→そのブログはこちら)。
結論から言えば、プレトニョフの指揮は威厳たっぷりで、基本的には強面なのだが、非常に繊細な表現も見せて、傑出した指揮者だと思った。
何よりオーケストラを鳴らす力にかけては素晴らしいものがあり、「フランチェスカ・ダ・リミニ」のフィナーレと、アンコールのハチャトゥリアンは、ホールが壊れるのではないかというほどの鳴らしぶりだった。
ザ・シンフォニーホールは残響2秒という素晴らしい音響で有名で、際立って美しい弱音を聴かせるオーケストラには何度か出会ったが、これほどホール全体が振動するようなオーケストラのドライブに出会ったのは初めてだった。
ホール全体が揺れていた。
チャイコフスキーは美しさよりも力強さを感じた。弱さがなく、攻撃的で、背骨がしっかりした演奏だった。
その一方で、ショパンでは楽譜に大幅に手を加えるなど、柔軟な部分も見せる。
ショパンのピアノ協奏曲は、ソロ曲とした方が良かったのではないかと思うほどピアノが主役でオーケストラの見せ場の少ない曲だが、プレトニョフの修整(編曲)により、管楽器や弦楽器のパートが増えて、意外なくらいオーケストラ部分に聴きどころが満載だった。
修整が加わったということはピアノだけが突出しなくなり、ピアニストからすると活躍の場が減ったわけで、ブレハッチの心境を心配したくなるが、両者の呼吸はバッチリだった。オーケストラとピアノのバランスがより洗練されたおかげで、ピアノの美しさも際立った。ドロドロと情念渦巻く雰囲気は減ったが、音楽的な洗練の度合いはより高まった。
そして主役ブレハッチのピアノ。その魅力を例えて言うと、「燻し銀のよう」で「ロマン主義がポーランドに置き忘れた」ようなピアニスト。テクニックは抜群で、何というか洗練された品格を感じる。音色は水晶のように透明でフォルテでも濁らない。なかでも弱音の美しさはとても素晴らしく、第2楽章などはいつまでも浸っていたいほどだった。最初の音が出た瞬間から別の世界に連れて行かれたようだった。
「こんな素晴らしいコンサート、得がたい体験だぞ!」
と上機嫌でビールを飲んだのがいけなかった。
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