大阪フィル・410回定期・ブラームス・ブルックナー・シューマン
前回の定期公演では、指揮者の大植英次さんが本番直前に急病のためキャンセル。
突然のことに代役を立てることも出来ず、フォーレのレクイエムは合唱指揮者がオーケストラの指揮も兼ね、ブラームスの交響曲4番は指揮者なしで演奏した。
演奏の出来はともかく、オーケストラの集中力と緊張感は尋常ではなく、観客の力強いサポートも合って、この前代未聞の非常事態を熱い演奏で乗り切った(→そのときのブログはこちら)。
そして今日は、今期の大フィル・定期演奏会の4回目。
久しぶりのコンサートだ(およそ20日ぶり)。最近は「生の音が聴きたい」症候群、禁断症状が出ていたので楽しみにしていた。
第410回定期演奏会
2007年7月5日(木)、6日(金)
18:00開場 19:00開演 ザ・シンフォニーホール指揮:下野竜也
独奏:伊藤恵(ピアノ)
曲目:
ブラームス/ピアノ協奏曲第1番ニ短調 作品15
ブルックナー(スクロヴァチェフスキー編)/「アダージョ」(弦楽五重奏曲ヘ長調より)
シューマン/交響曲 第4番ニ短調 作品120
ブラームスは安定感のある演奏だった。指揮者とソリストの呼吸もばっちり合っていた。ピアノの伊藤恵さんは正確で力強いタッチ。そして感情的。第2楽章のピアノのソロ・パートはとてもゆっくりで演奏が止まってしまうと思ったほどだ。遅いことによって浮かび上がる美しさもあるのだなと思った。フィナーレもせっかちにならない。急がない。急かさない。これは大人の演奏と感じた。オーケストラとピアノ、どちらが突出してもいけない難しい曲だが、難しさを感じさせない堅実で安定感のある演奏だった。生でこのレベルの演奏をするのは凄いと思った。
ブルックナーのアダージョは清らかな名曲。ブルックナーの交響曲はゴツゴツしていて男性的なものが多いが、アダージョ楽章には美しい曲調のものが意外に多い。これもそんな曲。不器用な愛情。大フィルの弦の音色は何ともいえない美しさ。弱音が非常に綺麗だった。私は最近、肩こりに悩まされているのだが(たぶん視神経からきている)、そんな肩こりがほぐれていきそうな癒しの演奏だった。
シューマンは、指揮者の下野さんの才気が爆発した熱演だった。テンポの触れ幅が激しくグッと表情が濃い。しかし気負いが膨張せずに、細部は引き締まっていた。シューマンらしい分厚い和音。堪能した。フィナーレの盛り上がりは凄まじかった。
今日の演奏。すべての曲が高い完成度でまとまっていた。良い演奏会だった。さらに帰りの電車でも座れて(この路線ではほとんど座れたためしがない)最高の一日だった。
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