交響曲の名曲ランキング11・ベストイレブン
音楽評論家で指揮者の宇野功芳さんによる著作『新版・クラシックの名曲・名盤』でクラシックに入門する人は多いと思う。
氏の嗜好は最近のクラシック音楽のリスナーには偏っていると感じられるかもしれないし、死んだ指揮者の名盤ばかり紹介されているのはいかがなものかと思うが、並々ならぬ情熱は伝わってくる。
- 作者: 宇野功芳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/09/20
- メディア: 新書
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この本の中では、交響曲ベストナインと指揮者ベストナインは面白かった。「数多の交響曲の中から9曲選ぶ」というコラムで、読みながら私は、例えば、「ベートーヴェンならこっちじゃないか」とか思ってしまった。
こういう企画は面白い。
私は、サッカーのアジアカップにちなんで交響曲ベストイレブンをやってみよう。
【ルール】
一人の作曲家につき一作品とする。
(そうしないと、下手するとベートーヴェンだけで9曲が埋まりかねない)
ポピュラーでスタンダードな作品を選ぶ。「裏」名曲のようなものは選ばない。
ハイドン。
却下。交響曲作品が多すぎて選べない。100曲以上ある。ハイドンは別途、ハイドンの交響曲ランキング10などをやる必要がある(これは聴き通すのが大変だ)。
気を取り直して最初は、モーツァルトの交響曲第40番。
(→名盤はコチラ)
モーツァルトの交響曲はどれも美しく、人によって好みも分かれるだろう。私も36番「リンツ」、38番「プラハ」をこよなく愛しているが、傑作と言うことで40番を選んだ。
次はベートーヴェン。交響曲第5番「運命」。
(→名盤はコチラ(1)・(2))
第九と迷ったが、「合唱」入りはマーラーを入れたので、非常に緊密な構成で書かれている第五「運命」を選んだ。
これは文句なしだろう。「変態」度満点の交響曲だ。しかもそれがマニアックに芸術的に昇華している点がすごい。史上最初に現れた変態的な交響曲にして交響曲史上の傑作だ。
8番「ザ・グレート」も素晴らしい作品なので、これにはやや異論があるかもしれない。だが「未完成」は「未完成」であるがゆえに美しい曲。ベストイレブンに未完の大器が眠っていると考えるとワクワクする。
ブルックナーの交響曲は3番以降の作品はどれを入れても良かったが、一番長い8番を入れた。体格のよさはそれだけで武器だ。
ブラームス交響曲第1番。
(→名盤はコチラ(1)・(2))
ハンス・フォン・ビューローがブラームスの最初の交響曲を評して「ベートーヴェンの第10交響曲だ」といったのは有名なエピソード。マニアックにコツコツと仕上げられた作品。努力型の完成形。
私はチャイコフスキーでは5番のほうがずっと好きだが、5番のようなタイプの曲は何曲か入れたのでポピュラーな「悲愴」を選んだ。
ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」。
(→名盤はコチラ)
私は7番、8番の方がずっと好きだが、ベストイレブンと言うことであれば、客を呼べる「新世界」だろう。
ベルリオーズが変態なら、マーラーは魑魅魍魎だ。ぶよぶよしていておそろしくてありがたいものに暗闇で出会ったような感じだ。不気味さ。迫力。内容。マーラーらしさ満点なのに、感動して涙する傑作。
シベリウスらしさという点では、4番以降だが、ポピュラーなのは2番だ。それでも、このメンバーの中では地味に見える。しかし地味さを買うファンも多い。玄人好みの名曲。
ショスタコーヴィチは5番しかありえない。ショスタコーヴィチは苦手だが、5番ならなんとか聴けると言う人も多いのではないだろうか。切れ味の鋭いナイフのような作品。
以上。アジアカップは日本さいごまでがんばってほしい。
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