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新日本フィル・トリフォニーシリーズ・#418定期


東京出張に引っ掛けて、新日本フィル定期演奏会に足を運んだ。墨田区には行ったが、隅田川花火大会には行かなかった。

新日本フィルハーモニー交響楽団 2006-2007シーズン ≪誘惑≫


定期演奏会トリフォニー・シリーズ#418 ≪別れと出会いを想う時≫


7月28日(土)15:00 すみだトリフォニーホール


[指揮]クリスティアン・アルミンク
[チェロ]ソル・ガベッタ

[プログラム]
▽アタナシア・ジャノウ:「聴け、神秘なる季節へと誘惑する風を」(新日本フィル委嘱作品)※世界初演
エルガー:チェロ協奏曲ホ短調op.85


チェリスト・アンコール≫
▽ヴァスクス「チェロのための『本』」


〜休憩〜


ベートーヴェン交響曲第4番変ロ長調op.60

普段聴いているオーケストラではないので詳細な論評は出来ないが、オーケストラの団員の技量も非常に高く、演奏もよく整理されていて、素晴らしいオーケストラだと思った。


1曲目。新日本フィル委嘱作品である、ギリシャの若手作曲家アタナシア・ジャノウ(1971年生まれ)による「聴け、神秘なる季節へと誘惑する風を」。

ガチガチに理論武装したような現代音楽でなく、主旋律を追うことができる、メロディアスといってもよい曲だった。世界初演の現代音楽ということで身構えていたのだが、その構えは不要だった。この曲なら、現代音楽嫌いでワーグナーリヒャルト・シュトラウスを聴いている人にも受け入れられるとさえ思った。管楽器のソロが活躍する部分も多く、聴きどころの多い曲だった。


2曲目。エルガーのチェロ協奏曲。この曲はジャクリーヌ・デュプレの名演で知られており、女性チェリストの演奏がとてもよく似合う。夏にはまるで向いていない曲だが、演奏は良かった。女性チェリストソル・ガベッタの、気品と温かみのある音色。エモーショナルで素晴らしい演奏だった。


ソリストのアンコールは、ラトビアの作曲家、ヴァスクスの「チェロのための『本』」という曲で、チェリストがチェロだけでなくて歌も歌う。初めは、舞台袖で誰かが歌っているんだろうと思ったら、「えっ!?」、チェリスト本人の歌だった。チェロの超絶テクに加えて、オペラの歌い方とは違った素朴な歌唱。驚きのアンコール曲だった。


ベートーヴェンの4番。私はベートーヴェンの4番はとくに好きな曲だ。パートの輪郭くっきり、小回りばっちり、全体的に早めのテンポで、交響曲の革命児・ベートーヴェンの先進性をこういう風に出すかという演奏だった。フィナーレは手に汗を握った。やや辛口で精度の高い演奏だった。


私は、すみだトリフォニーホールは初めてだったのだが、美しくて斬新なデザインで、音響も良かった。丸みのある響きが素晴らしく、残響も多めで、大阪のザ・シンフォニーホールの「残響2秒」に倣うならば、「残響2・5秒」といったところだろうか。


ただ、これはあくまでも想像なのだが、このホールは席によって響きのばらつきが激しいような印象を受けた。舞台の見通しもまた席によって差が激しく、視覚的にも聴覚的にも、3階席はやや苦しいのではないかという印象を受けた。その代わり、1階席の真ん中あたりの音響は、想像を絶する素晴らしさなのではないだろうかと思った。


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