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サン=サーンスのピアノ協奏曲


サン=サーンスは生涯に5つのピアノ協奏曲を残した。


サン=サーンスのピアノ協奏曲は、近頃のコンサートのプログラムの流行からは外れているためか、あまり聴く機会が多いとはいえないが、5曲とも違った魅力があって、洒脱で機知に富んだ名曲揃いだと思う。


ベートーヴェンシューマンブラームスなどのドイツの重厚な音楽とは一味違って、その作風は、社交的で、華麗で、軽妙。


フランス音楽らしい独特の魅力がある。


演奏効果も高いと思うのだが、あまり演奏されないのはなぜだろう?う〜ん不思議だ。


◇  ◇  ◇


ピアノ協奏曲第1番ニ長調(作品17)

サン=サーンスの最初のピアノ協奏曲。後のものに比べるとアイディアの突っ込みが足りないが、率直に言って、美しく楽しいと思える曲だ。スピード感に酔う。ベートーヴェンのP1番が好きな人なら楽しめるだろう。じゅうぶん、ピアノ協奏曲の佳作だと思う。


ピアノ協奏曲第2番ト短調(作品22)

サン=サーンスのピアノ協奏曲の中では、5番「エジプト風」に次いでポピュラーな曲。ピアノが非常に華麗に感じられる曲。第3楽章は、デモーニッシュ(悪魔的)とさえ言える、ミステリアスで魅惑の旋律。


ピアノ協奏曲第3番変ホ長調(作品29)

いちばんマイナーな曲。「なにこれ」→「掴みどころがない」→「一筋縄ではいかない」→「独特で面白いかも」→「良い」という感じで、徐々に魅力に気付いていく曲。


ピアノ協奏曲第4番ハ短調(作品44)

2楽章構成。交響曲第3番「オルガン付き」と似て構成の妙が光る。第2楽章の後半のシンプルすぎるピアノにあっと驚く。


ピアノ協奏曲第5番ヘ長調「エジプト風」(作品103)

「エジプト風」の副題で知られている。第2楽章のメロディは、西洋のメロディではない。サン=サーンスはエジプトが好きだった。生涯のうちに何回も旅行して、そこで出会った旋律が盛り込まれている。第3楽章。宝石を散りばめたような美しさと、疾走する切なさは例えようがない。


◇  ◇  ◇


サン=サーンス:ピアノ協奏曲全集

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スタンダードな名盤。英DECCAの録音で音質は最高。残響がやや多めに収録されているからか、殊更にロマンチックに感じる。パスカル・ロジェのエレガントなピアノは、サン=サーンスとよく合う。古き良き(そんなに古くはないが)エスプリ、という感じだ。


Complete Works for Piano & Orchestra

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オーケストラが面白い。サカリ・オラモの振るバーミンガム市響の表現力が最高だ。緻密。目立たなかった旋律が浮かび上がる。そして語頭と語尾の切れがよいというか、溌剌としている。スティーブン・ハフのピアノは現代的だ。気持ちの迷いまでも機械的に解決していくようなメカニカルなピアノ。ロマンスに流されない、という感じだ。ロマンチックなロジェ盤を懐かしく思うが、こちらに慣れるとロジェ盤が古臭く感じられる時もある。


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