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サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番


サン=サーンスは生涯にヴァイオリン協奏曲を3曲書いた。


その中で演奏会などで取り上げられる最もポピュラーなものは第3番だ。


仮にサン=サーンスがヴァイオリン協奏曲をこの曲1曲しか遺さなかったとしたら、ベートーヴェンメンデルスゾーンブラームスのヴァイオリン協奏曲と並ぶ名曲となっただろう。


例えば第1番などは爽やかな名曲で私は大好きなのだが、3曲も書いているために1曲あたりの印象が薄れ、損をしているのではないか。録音も名曲の割に少ない。


◇  ◇  ◇


サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番は、ツィゴイネルワイゼンで知られている作曲家でヴァイオリニストのサラサーテに献呈された。


第1楽章。古典的で、妖しげな美しさを醸し出す。年代もののワインの旨味のようだ。苦味のあとに来る奥深い味。


第2楽章。同じサン=サーンスによる組曲『動物の謝肉祭』の「白鳥」に勝るとも劣らない名旋律。この音楽を聴きながら眠ると幸せになれる気がする。


第3楽章。高貴で覇気に満ちた旋律。嘶(いなな)くようなヴァイオリンに身が震える。


■チョン・キョンファ

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番/第5番

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番/第5番


人を動かす、感動させる演奏だ。多分これ以上の演奏は出ないのではないか。そう思わせるほどの凄まじい熱演だ。扇情的なフレージング。鬼神のごとき厳しさ。チョン・キョンファに何かが憑依しているのではないかというくらいの入り込みようで、これは演奏行為ではなく、悪魔退治ではないかと思うくらいの神秘的で魂のこもった演奏だ。ヴュータンのヴァイオリン協奏曲第5番と併録。


■イツァーク・パールマン

ラロ:スペイン交響曲

ラロ:スペイン交響曲


ラロのスペイン協奏曲と併録。チョン・キョンファ盤に並ぶ演奏はないと書いたが、あった。ただしアプローチは全然違う。触れると火傷するような厳しさはなく、変わりにウォーミングで人間味の感じられる演奏。フレージングの端々に歌心がある。日常的に聴くのはこちらだが、ときどきキョンファ盤を聴くとやはり感動する。


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