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ノリントンの1番、25番、40番「ジュピター」


ノリントンシュトゥットガルト放送響による1番、25番、40番「ジュピター」。



ライブ録音による交響曲選集ということで、既に1巻と2巻の発売が開始されていて、下記のように、全6巻での完結が予定されている。

  • 第1番(K.16)、第25番(K.183)、第41番(K.551)
  • 第12番(K.110)、第29番(K.201)、第39番(K.543)
  • 第8番(K.48)、ニ長調(K.320)、第40番(K.550)
  • 第22番(K.162)、第33番(K.319)、第38番「プラハ」(K.504)
  • 第19番(K.132)、第34番(K.338)、第36番「リンツ」(K.425)
  • 第32番(K.318)、第28番(K.200)、第35番「ハフナー」(K.385)、第31番(K.297)


小編成のオーケストラ、モダン楽器によるビブラートを抑えた演奏。そんなアプローチでマーラーチャイコフスキーにまでラインナップを広げてきたノリントンにとって、古典派のモーツァルトは原点回帰にも近いものだ。


そしてこの3曲。最初の交響曲と、青春時代の交響曲、そして最後の交響曲という選曲がとても面白い。


1番。モーツァルトが8歳の時の作品。まさに神童。後期作品と比べるととてもシンプルで、学校の生徒作品のような印象だが、時々ハッとするような美しさやゾッとするような悲しさも見える。やはりモーツァルトは平凡ではなかった。ビブラートを徹底的に抑えた弦の響きは明晰で透明感が高い。チェンバロも入っていてとても古典的な印象を受ける。


25番。17歳の時の作品。モーツァルトの青春の叫び。こちらもチェンバロが入っている。この曲の第1楽章などは、遅すぎる演奏は興ざめだが、ノリントンの演奏では案の定とても速い。それなのに美しさが損なわれていないところが凄い。疾走する叫び、という感じだ。音楽の流れがよく、センスのよさを感じる演奏だ。バッハを聴くように、素直な気持ちで聴き終えた。


41番「ジュピター」。最後の交響曲。死の3年前、32歳の時に書かれている。この世に心残りはないかのように生体反応が薄く、清廉で高潔な曲だ。この曲では冒頭のドの音の3連打が有名だが、ノリントンの特徴は、それに関連する様々な旋律がクレッシェンドしていくことだ。アッサリした音色なのに表情が濃くなっているのはこの辺りの工夫が作用しているのだろう。ドッシリとした「ジュピター」が好きな人には不満だろうが、ブリュッヘンやコープマンなどのモーツァルト演奏が好きな人にはたまらない演奏だろう。フィナーレの盛り上がりも相当なもので、小編成のオーケストラなのに密度の高い演奏でとんでもない爆発力を見せる。


第1集からこの高レベルの演奏はとても素晴らしく、モーツァルト交響曲の演奏史に残る名演・名盤となる可能性も高い。続く選集も楽しみだ。


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