大植英次×大阪フィル・ベートーヴェン交響曲チクルス(全曲演奏会)III
大植さんと大フィルによるベートーヴェンチクルスも3回目(過去のブログはこちら→【ベートーヴェンチクルスI】・→【ベートーヴェンチクルスII】)。
2007年11月29日(木) 19:00
大阪フィルハーモニー交響楽団 創立60周年記念公演
ベートーヴェン交響曲全曲演奏会III
客席は補助席も出るほどの満員。
オーケストラの配置は、バイオリンが左右に分かれ、舞台奥にコントラバス奏者が横一列に並ぶ特殊な対向配置。このチクルスでは一貫してこの配置だ。見慣れたとはいえ、ズラーッと大きなコントラバスが並ぶのは壮観だ。
指揮もいつものように暗譜だった。指揮棒を持たないスタイルも前回と同じ(結局、このチクルスの1〜8番まで、指揮棒を持っての指揮は一度もなかった)。大植さんの最近の指揮姿を見て、以前と比べて大きく違うのは、指揮の身振り手振りが明らかに小さくなったことだ。この辺りの変化は持病が関係しているのかもしれないが、アクションの大きさと関係なくオーケストラの掌握度は高い。「蜜月」という表現が良く似合う。
7番。第1楽章は対向配置の良さがいきる。左右のヴァイオリンの掛け合いが聴きどころだった。ただ、全体的には第1楽章の冒頭から第3楽章まで、今ひとつ、地に足が着いていないというか、乗れていないように感じた。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロから物理的に離れているコントラバスが浮く。音量は十分出ていたのだが、分離して、溶けない。木管、金管とのバランスが取れていない部分も見られた。ティンパニの大きさも気にかかった。
「う〜ん、今日はなかなか乗らないな。どうしたんだろう?」と思っていたら第4楽章から突如、エンジンがかかったかのように揃ってきた。バランスもよくなってきた。テンポも速く、熱狂的になって、最後は大興奮のフィナーレだった。第4楽章にいくつかある休止も長めで、ライブっぽくて良かった。それまで低空飛行を続けていた飛行機が急上昇するかのようだった。前半の低調ぶり(に聴こえた)が嘘のように、絶好調時の片鱗を見せた。
8番。こちらは円熟してしたし、熱のこもった演奏だった。冒頭から、エンジンが十分に温まっているかのように、迫真の演奏を見せる。7番で気になった弦の分離もない。第2楽章は私が好きなこともあって、ユーモラスな部分が良く出ていた。第3楽章はスケールが大きかった。第4楽章はスピード感があって、爽やかで、駆け抜けるようだった。ティンパニも良かった。クラリネットも大変良かった。
7番と8番が並ぶプログラムは、チクルスでもなかったらありえないので満足した。
これは年末の9番「合唱」が楽しみだ。…と言いたいところだが、私はこの日、都合が悪くて行けない。チケットも知人に譲った。う〜ん、惜しい。
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