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レスピーギの「ローマ三部作」噴水・松・祭り


19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したイタリアの作曲家、レスピーギの代表作が「ローマの噴水」、「ローマの松」、「ローマの祭り」の交響詩3篇、通称「ローマ三部作」だ。


それぞれ、交響曲の4つの楽章のように4つの部分から構成されているが、内容的には交響曲の形式(例えばソナタ形式メヌエットなど)から離れて、自由な発想で書かれている。

交響詩「ローマの噴水」

  1. 夜明けのジュリアの谷の噴水
  2. 朝のトリトンの噴水
  3. 昼のトレヴィの噴水
  4. たそがれのメディチ荘の噴水

交響詩「ローマの松」

  1. ボルゲーゼ荘の松
  2. カタコンブ付近の松
  3. ジャニコロの松
  4. アッピア街道の松

交響詩「ローマの祭り」

  1. チルチェンセス
  2. 五十年祭
  3. 十月祭
  4. 主顕祭


ラヴェルのように計算されたオーケストレーションによる色彩感覚と、ラテンの気ままな部分が同居する、とても魅力のある3曲だ。


中でも「ローマの松」が最もポピュラーだが、「ローマの噴水」の室内楽的な精緻さ、「ローマの祭り」の爆発力も捨てがたく、レスピーギの代表作というばかりでなく、クラシック音楽のなかでも屈指の名曲ともいえる。


◇  ◇  ◇


ローマ三部作は、曲が良いので正直言って、巧いオーケストラでノリがよければどれでも良いのではないかと思うのだが、とくに下に挙げたような録音を私は聴いている。


トスカニーニ


レスピーギ:ローマ三部作

レスピーギ:ローマ三部作


こちらは伝説の名盤。今となっては音の悪さが辛いが外せない一枚。演奏はとにかく鋭い。とんがっている。尖りまくった圧倒的な演奏だ。


ムーティ×フィラデルフィア管盤



ローマ三部作といえば、このムーティ盤だった。録音品質は当時としては最新鋭だったのかもしれないが、今となってはこの音はやや辛い。彫りが浅く立体感に乏しい。しかしそれでも若き日のムーティの情熱とフィラデルフィア管の演奏能力の高さがヒシヒシと伝わってくるのだから、すごい演奏だ。(Amazonでは何故か在庫切れになっていて、これだけの演奏なのにもったいないと思っていたら、来年3月に再販売されるようだ。リマスタリングされるようだったら買い直したい。)


デュトワ×モントリオール響盤


レスピーギ:交響詩「ローマの松」 「ローマの祭り」 「ローマの噴水」

レスピーギ:交響詩「ローマの松」 「ローマの祭り」 「ローマの噴水」


イタリア人指揮者の名盤の中に割って入るだけでもエライのだが、内容もすごく良い。丁寧で精密。細部にまで神経が行き届いた演奏という印象。オーケストラがよく訓練されていることもわかる。お国ものでないのが幸いしているのかもしれないが、作品とやや距離をとった上での熱演が良い感じだ。


■ダニエレ・ガッティ×ローマ・サンタ・チェチーリア国立アカデミー管


Feste Romane / Fontane Di Roma / Pini Di Roma

Feste Romane / Fontane Di Roma / Pini Di Roma


イタリア人指揮者とオーケストラによる待望の録音だった。艶っぽい音色。若い頃のガッティの熱さがよく出ている(いまでもまだ若いが)。音質は素晴らしいが、若干遠めで残響音が多めに録られている。映画館的とでも言えるかもしれない。


アントニオ・パッパーノ×ローマ・サンタ・チェチーリア国立アカデミー管


レスピーギ:ローマ三部作+夕暮れ

レスピーギ:ローマ三部作+夕暮れ


ガッティ盤と同じオーケストラなのに聴いた印象はだいぶ違う。まず、金管が鋭い。「近さ」を感じる。耳を指すように鮮烈だ。あと、たいへん個性的なテンポ設定で、エンターテイメント性が際立つ。ちょっとやりすぎのような気がしないでもないが、ライブでこういう演奏をしたら、とんでもない盛り上がりとなること間違いないだろう。ユニークで面白い演奏だと思う。


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