エルガーのヴァイオリン協奏曲
2007年はエルガー・イヤーだったが(生誕150周年)、私はほとんど、意識的には聴かなかったと言ってよい。
だから今年も残りわずか、師走も年の瀬がいよいよ迫ってから、「あ、今年はエルガーイヤーだった。もっと聴いとけばよかった」と後悔している。
このブログでも、エルガーの曲は1度とりあげたきりだった…(→過去のブログ【ジャクリーヌ・デュ・プレ、エルガーのチェロ協奏曲】はこちら)
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エルガー作品というと、「愛の挨拶」や行進曲「威風堂々」第1番、あるいはチェロ協奏曲がポピュラーだが、私はヴァイオリン協奏曲が特に好きだ。
1時間近い演奏時間がかかる長大な曲で、ヴァイオリニストには高度なテクニックが要求される難曲でもある。
メロディは地味でメランコリックで、天候に例えるとどんよりと曇った感じ。決してわかりやすく派手な曲ではないのだが(わかりにくいと言う人も多い)、何度も聴いているうちに病み付きになる。「渋い」、「大人の」魅力だ。冬のロンドンがこんな気候だろうか。
苦みきったこの曲の魅力が、まるで年代ものの名の知れたスコッチウイスキーのように、体に染み渡る。抗えない魅力を感じる。
この、辛口で大人向けといった印象は、ブラームスの後期の作品を聴いたときの印象に近いかもしれない。
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ラトルの振るバーミンガム市響の演奏が面白い。テンポはめまぐるしく変わるし、小気味良いエネルギーがある。覇気が感じられてとてもよい演奏だと思う。ケネディのヴァイオリンは、手錬のヴァイオリニストが技巧の限りを尽くし磨きあげるようなパッセージが見事。多彩な音色が楽しめる。
- アーティスト: ハーン(ヒラリー),エルガー,ヴォーン=ウィリアムズ,デイヴィス(サー・コリン),ロンドン交響楽団
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ヒラリー・ハーンのヴァイオリンの音色は透明感があってとても素直だ。難曲をいとも簡単に弾いているようで、このスムーズさが魅力だ。ヒラリー・ハーンの演奏で聴く限り、この曲は難解でも何でもない。きわめてわかりやすい。サー・コリン・デイヴィスの振るオーケストラは円熟の味。
- アーティスト: ハレル(リン)チョン・キョンファ,エルガー,ショルティ(サー・ゲオルグ),マゼール(ロリン),ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団,クリーヴランド管弦楽団,チョン・キョンファ,ハレル(リン)
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チョン・キョンファのヴァイオリンがカリスマ的。呼吸が深く、情熱的に歌い上げる。この熱演には近寄りがたささえある。オーケストラはゴージャスに燃える。
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