2007年振り返り・コンサートランキング
漢検による、2007年を象徴する漢字は「偽」だった。
『発掘あるある大辞典』でのねつ造問題に始まり、不二家、ミートホープなどの食品偽装問題、「消えた年金」問題、安倍晋三氏の突然の総理辞任、ミャンマーの軍事政権による反政府デモ武力鎮圧と日本人ジャーナリスト射殺事件、自民−民主の「大連立」騒動、それに伴う小沢一郎氏の民主党代表辞任表明と撤回、防衛省の不祥事などなど。何かと悪いニュースが多かった。物騒な事件も相変わらず多かった。
個人的にはそんなに悪い一年ではなかった。何より、今年はクラシック音楽の演奏会に多く通うことが出来た。思い切って大フィルの定期会員になったこともよかった。
今年とくに印象的で感銘を受けた演奏会を上位10位を挙げると、こんな感じだ(そのときのブログは「⇒」をクリック)。
【2007年クラシック音楽コンサートランキング】
1. クリスティアン・ティーレマン×ミュンヘン・フィル(2007年11月7日)⇒
2. 準・メルクル×フランス国立リヨン管(2007年11月3日)⇒
3. M・プレトニョフ×R・ブレハッチ(p)×ロシア・ナショナル管(2007年6月10日)⇒
4. マリス・ヤンソンス×バイエルン放送響(2007年11月22日)⇒
5. クリストフ・フォン・ドホナーニ×諏訪内晶子(Vn)×北ドイツ放送響(2007年5月13日)⇒
6. 小林研一郎×清水和音(p)×アーネム・フィル(2007年2月25日)⇒
8. チョン・ミュンフン×フランス国立放送フィル(2007年5月10日)⇒
9. ワレリー・ゲルギエフ×ブロンフマン(p)×マリインスキー歌劇場管(2007年11月16日)⇒
ティーレマンとミュンヘン・フィルの演奏は、まさにいま「脂が乗っている」という表現がピッタリなくらい、「旬」を感じさせる、充実した演奏だった。個性が強いので嫌う人もいるかもしれないが、演奏レベルは圧倒的だった。また、それとは違う意味で傑出した演奏を聴かせてくれたのが、準・メルクルの振るフランス国立リヨン管だった。解像度の高い演奏はまるでグーグルマップのような精密さだった。
プレトニョフとロシア・ナショナル管は、とてつもない音量に驚いた。強面で硬質なサウンドはどこのオーケストラとも違う。ロシア・ナショナル管だけの音だ。まず、オーケストラの威力が凄いと思ったし、指揮者も才人だと思った。そして、ソリストとして登場したブレハッチのピアノはいま思い出してもうっとりするくらいエレガントで端整だった。
バイエルン放送響と北ドイツ放送響は予想通りのクオリティの高さだった。優雅で上品な南ドイツのオーケストラの音と、生真面目で実直な北ドイツのオーケストラの音を堪能した。
コバケンとアーネム・フィルは「泣ける」演奏だった。そして「燃える」演奏でもあり、燃焼度は今年トップだ。
大フィルについては今期の定期演奏会がまだ残っているので対象外にしようと思ったのだが、先日のラフマニノフでの大フィル・サウンドの復活が感動的だったので7位にランクイン。他の指揮者、例えば井上道義さんとか下野竜也さんとかラモン・ガンバ氏とのコンビでも、魅力的な演奏会を見せてくれた。
8〜10位については特段コメントしないが、それぞれ光る部分の多い演奏だった。
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今年のブログは今日で終わりです。明日からロンドンを旅行してきます。美術の旅です。
読んでいただいたすべての方々、コメント、トラックバックをいただいた方々、一年間ありがとうございました。
お元気で、良い年をお迎えください。
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