『名盤鑑定百科 交響曲篇 (新装増補版)』・吉井亜彦(著)
名盤紹介というのは、氷山の一角を讃えたり論じたりするものになりがちだ。時間的にも能力的にも、その曲の全貌を描くのはなかなか難しい。
- 作者: 吉井亜彦
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2004/03/26
- メディア: 単行本
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本書は、まず紹介されているCDの数が圧倒的に多い。圧倒的な量が質を支えている。ガイドとして信頼できるポイントの一つだ。一人の人間が限られた人生・時間でこれだけ沢山のものを聴き終えたという事を賞賛したい。
収録されている名曲は全部で100曲で、曲の解説と名盤の紹介がされている。100曲に限られていることもあって、曲の解説は大変に詳しく、情報量で事典を上回る。
そしてCDの紹介は上述したようにかなりの規模だ。ベートーヴェンの第五「運命」は118枚。第九「合唱」は108枚。ブラームスの1番は100枚。チャイコフスキーの6番「悲愴」は94枚。そのすべてに一行の寸評が載せられている。ここまで網羅的なものは過去にはなかった。
著者が特に推薦したいものは「◎」、それに準じるものが「○」、個性的であったりして特に挙げたいものが「☆」と、3種類の推薦マークが入っている。さらに音質が優れているものとして、録音状態の良いCDには「※」マークを入れている。
吉井亜彦氏の『名盤鑑定百科』はシリーズ化されていて、基本の6巻に加えて、モーツァルトとベートーヴェンを特集した、別巻の2巻が発売されている。『交響曲篇』のように、新しいCDを増補した、新装増補版も刊行されつつあるので、今後さらに注目したい。
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名盤鑑定百科 管弦楽曲編 新装増補版 (「名盤鑑定百科」シリーズ)
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