ヒラリー・ハーン×ノセダ×BBCフィル
ソリストとしてヒラリー・ハーンが登場する、ジャナンドレア・ノセダ指揮、BBCフィルのコンサート、大阪のフェスティバルホールに行ってきた。
ヒラリー・ハーンによるシベリウスのヴァイオリン協奏曲を生で聴けるということで、以前からとても楽しみにしていたコンサートだった。
2008年3月15日(土)大阪 フェスティバルホール
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
ヴァイオリン::ヒラリー・ハーン※
管弦楽:BBCフィルハーモニック
曲目:
▽ストラヴィンスキー:歌劇「妖精の口づけ」よりディヴェルティメント
▽シベリウス:ヴァイオリン協奏曲※
▽ベートーヴェン:交響曲第7番
(↑画像はフェスティバルホールのHPより)
ソリスト登場と同時に会場の雰囲気が一変する。オーラがあると一言で言えばそれまでだが、こんな音楽家は、指揮者のだれそれと、ピアニストの何がしと、チェロの誰かなど、一部の音楽家に限られている。しかもまだ20代の若さなのに。
ヒラリー・ハーンのヴァイオリンの魅力はいろいろあると思うが(「完璧」とか)、一番の魅力は「素直さ」だと思う。きっと性格も素直に違いないと思うのだが(断定)、情緒過多にならずに、曲に奉仕する。率直。歯切れが良い。後ろを向かない。前を向いている。そんなスタイルには思い切りの良さを感じるし、聴いていて気持ちが良い。
おそろしく巧いのだが、ギリギリな感じではない。シベリウスのヴァイオリン協奏曲はヴァイオリニストにとって大変な難曲だが、いとも簡単にやっているように完璧に弾きこなし、自身が弾かない部分ではオーケストラの音を楽しむような余裕さえある。どこに限界があるのだろう。破格の才能だ。
オーケストラ、BBCフィルも力があった。一般的にイギリスのオーケストラはシベリウスと相性が良いと思うのだが、今日のBBCフィルは格別だった。華やかさはないが、正確で落ち着いた音がシベリウスにピッタリだった。第3楽章などはかなり速いテンポで、協奏曲でオーケストラが遅れ気味になると興ざめだが、しっかり合わせていた。さすが。
こんなに緊張感のある、精度の高いシベリウスはなかなか聴けないと思った。
指揮者のノセダ氏の動きはぎこちなく、ロボット的というか不器用な感じで、この動きからどうしてこんなに立派な音楽が出てくるのか不思議なくらい。第一曲のストラヴィンスキーでまず力を感じ、期待を持たされた。イギリス英語のように、アクセントがはっきりしていて、語尾が明瞭で、見事に揃った、質の高い演奏だった。
ベートーヴェンの交響曲第7番は、指揮者とオーケストラの特質が最も発揮されたプログラムだと思う。この曲にとって、リズムがどれほど大事なのかよくわかる演奏だった。切れが良い。かなり速いテンポなのだが、はやらない、転ばない。立派なフィナーレだった。見事。
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