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ラトル&BPOの『展覧会の絵』とボロディン


サイモン・ラトルBPOベルリン・フィル)による『展覧会の絵』を聴いている。


このCDは、2007年大晦日のジルベスターコンサートのライブ録音で、その演奏の模様は日本でもNHKのBSで生放送された(私は旅行していて見ることができなかった。ビデオをセットし忘れた)。先日、カラヤンフルトヴェングラーなど往年の音楽監督ベルリン・フィルに関する特番がBSで放送されていて、そこで私はこのコンサートの映像を初めて見ることができた。


2007年ジルベスター・コンサート「展覧会の絵」

2007年ジルベスター・コンサート「展覧会の絵」


展覧会の絵』は、クラシック音楽全体の中でも屈指の人気曲だ。


ムソルグスキーが友人の画家の展覧会(亡くなった友人の回顧展)を訪れて、10枚の絵から受けた印象を10曲の音楽にしていったというのが作曲の経緯。絵と絵の間の思考・歩みは、「プロムナード」という前奏曲で表現されている。


ムソルグスキーの原曲のピアノ組曲版は、土俗的で、野蛮で、神秘的であったのだが、ラヴェルによる管弦楽版は、それをフランス風に洗練した響きを持っている。演奏効果もたいへん高い曲なので、様々な指揮者、オーケストラが名演を残してきた。


それで、ラトル&ベルリン・フィルの『展覧会の絵』はどうかというと、期待に違わぬ素晴らしい演奏となっている。あるいは、この曲のひとつの頂点といえるほどのレベルにあるかもしれない。


どんな演奏かというと、ロシア臭の薄い、かといってドイツ風でもない、無国籍な演奏。しかしテンポ、和音、音色など、音楽を構成する様々な要素を限界までマニアックに突き詰めていった結果、ここまでのレベルに達した、という感じだ。現在のベルリン・フィルは、世界で最も無国籍で、モダンで機能的なオーケストラだと言えるだろう。


このCDには、同じロシアの作曲家・ボロディン交響曲第2番と、管弦楽曲「だったん人の踊り」も収録されている。それにしてもこの演奏会はとても充実したプログラムだ。


ボロディン交響曲2番は垢抜けないがそこが魅力の、オリジナリティー溢れる名曲。しかしラトル&BPOにかかると、野暮なこの曲が、ダサい人が【野暮→粋】に突然変身したように、数倍洗練されて聴こえる。反面、陶酔や熱狂も、綿密な設計図に基づいているかのようで、こういうタイプの演奏に合わない人はとことん合わないだろう。


「だったん人の踊り」は名曲。素晴らしく精密で、かつ、疾風のような演奏だ。演奏会本番では第1曲として演奏された。観客の、当夜の演奏会への期待度は最高潮に達したに違いない。


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