大フィル・第418回定期〜捻りのきいたプログラム
大阪フィル(以下、大フィル)の5月の定期演奏会に行ってきた。
メンデルスゾーンの交響曲第1番というマイナーな曲が前半。後半は、バルトークの未完のヴィオラ協奏曲と、レスピーギのマイナーながら巨大編成の曲ということで、随分と捻りのきいたプログラムだと思った。
大阪フィルハーモニー交響楽団
第418回定期演奏会
2008年5月22日(木)、23日(金)
ザ・シンフォニーホール 18:00開場 19:00開演
指揮:ドリアン・ウィルソン
独奏:アントワン・タメスティ(Va)※
曲目:
メンデルスゾーン/交響曲 第1番ハ短調
バルトーク/ヴィオラ協奏曲※
レスピーギ/バレエ組曲「シバの女王ベルキス」
メンデルスゾーンの1番。これは隠れた名曲。私は4番「イタリア」、5番「宗教改革」より好きだ。演奏の序盤はやや低調に感じられたが、徐々に調子を上げてきた。メンデルスゾーンらしい、上品で翳りのある名曲だ。小規模の編成だったので、会場の盛り上がりもやや欠けていたが、私はたいへん満足した。第2楽章の木管楽器のコンビネーションは絶妙だった。第4楽章後半の弦楽器の絡み合いは、バッハ的というか、有機的で、神々しく、神秘的ですらあった。そういえばメンデルスゾーンはバッハのマタイ受難曲を再発見した人だった。
バルトーク。ヴィオラのソリストが素晴らしかった。圧巻で、ヴィオラってこんなに表現力の高い楽器なんだと思った。コンチェルトの演奏だと、オーケストラが遅れることはよくあるのだが、今日はとてもよくまとまっていて、テクニカルで素速いヴィオラに後れをとらない。力強さもあった。現代音楽に近いバルトークだが、難解なところは少しもない、ポンと膝を打ちたくなるような気持ちのよい演奏だった。
レスピーギの『シバの女王ベルキス』は、ローマ三部作(『ローマの噴水』、『ローマの松』、『ローマの祭』)にも引けをとらない演奏効果の高さで、管弦楽の傑作だと思った。今日は、金管も木管も弦も実によく鳴っていた。凄まじい迫力の音響だった。残響5秒。音響のよいシンフォニーホールを盛大に、そして美しく鳴らしていた。近年の大フィルは、こういう曲をやってもドタバタした爆演にならない。まとまった中に熱さを秘めた演奏をするようになった、オーケストラが成熟してきたようで感慨深かった。
ちなみにこの曲は、大植英次さんとミネソタ管のコンビでCDが発売されている。こちらの演奏も負けずに洗練されていて素晴らしい。
Respighi: Belkis Queen of Sheba Suite / Dance of the Gnomes / The Pines of Rome
- アーティスト: O. Respighi
- 出版社/メーカー: Reference Recordings
- 発売日: 2001/09/04
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 15回
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