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ラトル&ベルリン・フィルのマーラー9


マーラー交響曲の中で傑出した作品であるばかりでなく、交響曲史上の傑作でもあるマーラーの9番。


この曲の名盤には、バルビローリ盤や、カラヤンの牙城でのバーンスタイン・夢の共演、帝王カラヤンの録音、そして最近ではアバドの快演があった。すべてベルリン・フィルによる演奏だ。


そして今年、満を持して発売された、現在の音楽監督サイモン・ラトルによる録音。


マーラー:交響曲第9番

マーラー:交響曲第9番


この演奏は、ハイビジョン的というか、ブルーレイ的というか、地上波デジタル的というか、高解像度の映像のように説得力のある演奏だ。緻密さで言っても迫力で言ってもこれまでの水準を軽く超えていて、間違いなく、この曲の演奏史に新たな1ページを加える演奏だと思う。


ラトルの音楽作りには時に、「やりすぎ」感を感じないでもないこともあるのだが、このマーラーの9番では、マニアックな狙いが全体の調和を乱すほどではなく、全体と部分の関係はこれまでになくなめらか。「熟成してきた」感を強く感じる。神経質なほどの緻密なテンポ設定の強みだけでなく、弦の艶やかも十分にある。


反面、この曲の陶酔的・耽美的な面はあまり出ていないようだ。枯れたような、しみじみとした感慨は少ない。このあたりを求める向きには不評かもしれない。


それにしても、こんな緻密でしかもメリハリのある、高水準の演奏をされて(しかもオーケストラは現代の最高峰のひとつ、ベルリン・フィルだ)、他の指揮者にとっては、これからこの曲を録音する際に、ずいぶんとハードルが高くなってしまったと思う。


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