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大植英次&大フィルの渾身の「リンツ」・「巨人」


大阪国際フェスティバルの公演で、先日のパーヴォ・ヤルヴィ&hr響の来日公演に続いて、大フィルの演奏会に行ってきた。


http://www.festivalhall.jp/img/50kokusai/firu.jpg
(↑画像はフェスティバルホールのHPより)

第50回大阪国際フェスティバル
大植英次指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
2008年6月7日(土)17:00 フェスティバルホール


[指揮]大植英次 
[管弦楽]大阪フィルハーモニー交響楽団
[曲目]
モーツァルト交響曲第36番ハ長調リンツ
マーラー交響曲第1番二長調「巨人」


1曲目は「リンツ」。天才モーツァルトが27歳の時に4日間で書いた曲。早書きなのに完成度は非常に高く、私はこの曲が大好きだ。

オーケストラは第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンが左右に分かれる、対向配置。きわめて真っ当な「リンツ」だった。1970〜80年代のベームカラヤンの録音を思い出す。大植さんは指揮棒を持たず、指示は抽象的というか、ずいぶんおおまかな感じで、空中の蝶をつかまえるような、舞うような指揮だった。よくこれで意図が伝わると思うのだが、もう思いのままという感じで、第4楽章などは、これでもかとオーケストラを煽る。往年のカルロス・クライバーの映像(DVD)を思い出すような盛り上がりだった。やはり大フィルはピリオド奏法や小編成をやらずに、流行にも振り回されずに、激しさや重厚さをいかした音楽作りをしていけばよいのだと思った。


マーラーの「巨人」。こちらでは、通常配置。大植さんは指揮棒を持っての登場。「リンツ」もそうだったが、すべて暗譜でこなした。この複雑な曲を暗譜で振るとは、いつもそうだが、まるで音楽の虫というか、この人の頭の中はどうなっているのか知りたい。

第1楽章の冒頭では遠くから聴こえる(舞台袖で吹いていた)トランペットが面白かった。その後、そのトランペット奏者(3名)たちはステージに出てきて着席し、その後の演奏をこなした。トランペット、トロンボーンなどの金管陣が今夜はとてもよかった。第3楽章は止まりそうな遅さと、早い部分が同居するメリハリのきいた音楽作りだった。第4楽章は、大変にスケールが大きく、まるでバーンスタインの「巨人」のような巨大な音楽だった。全身全霊をかけたようなフィナーレには打たれた。金管の咆哮が何かの啓示のように、神々しく響いた。


この曲はクラシック音楽を聴き始めたころから聴いているので、聴き飽きたといってもよいくらいの曲だが、新鮮ですばらしかった。若々しい、覇気に満ちた「巨人」だった。


アンコールは「花の章」。もともとの「巨人」含まれていた曲で、出版の段階で紛失した幻の曲。まさか今夜この曲まで聴けるとは思っていなかったので、うれしい誤算だった。アンコールとは思えないクオリティだったし、甘美というほかない名曲で、酔うようだった。


渾身の演奏で、定期とはまた違うテンションで、この大阪国際フェスティバルにかける思いが伝わってきた。


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