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さすらい人幻想曲×ポリーニ×キーシン


近頃は、シューベルトピアノ曲をよく聴いている。


一聴すると地味な楽曲が多いが、猫にとってのマタタビのようにやめられない魅力があって、中毒性が高い曲がいくつもある。シューベルトピアノ曲は、布団に入って、電気を消して、(できれば孤独の中で)、iPodで聴くのがピッタリだったりする。


さすらい人幻想曲」。


幻想曲ハ長調「さすらい人」は「さすらい人幻想曲」の名で知られている。第2楽章の主題が、シューベルト自作の歌曲『さすらい人』に因むことから、この名で通っている。


曲は全4楽章構成で、ソナタ形式をベースとしながらも、ピアノソナタではなく、より自由な幻想曲となっている。


ピアノ曲としては高度な技巧を要する屈指の難曲で、シューベルト自身ですら完璧に弾きこなすことは不可能で、「こんな曲は悪魔にでも弾かせたまえ」と語ったとか。そんなエピソードが残る。


華やかで祝祭的なメロディ、フレーズをもつテクニカルな第1、第3、第4楽章と、詩的でロマンチックな第2楽章をもつ。


シューベルトというと若くして生涯を閉じたこともあって、薄幸のイメージが強い。特に第2楽章などは、そんなイメージぴったりで、寂しく孤独な心情が歌い上げられている。幻想的でメランコリックな旋律がそこかしこに散りばめられた名曲となっている。


ポリーニ


Schubert: Wanderer-Fantasie; Schumann: Fantasie / Pollini

Schubert: Wanderer-Fantasie; Schumann: Fantasie / Pollini


ジャケットの絵には、ドイツロマン派の画家、フリードリヒの絵を使用(私はこの画家が大好きだ)。ポリーニはこの難曲を難しさを感じさせない。あまりの正確さと巧さに驚愕する。これ以上、何も望むことなどできない、合理的で、理性的で、完璧な演奏。チタンを思わせる、硬質のタッチ。均整の取れたフォルム。乱れないテンポ。このCDが録音された当時はまだかなり若かったはずだが、演奏はすでに巨匠の風格を漂わせている。


キーシン


Wanderer Fantasy / Piano Pieces / Hungarian Rhap.

Wanderer Fantasy / Piano Pieces / Hungarian Rhap.


若さの強みがよく出ていて、力強く情熱的でありながら、繊細さも併せ持つピアノ。こちらもテクニックは完璧で、高難度のフレーズを次々にこなしていく。若き日の(今でもまだまだ若いが)キーシンの意欲的なピアノが堪能できる一枚。


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