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エレーヌ・グリモーのブラームス・後期ピアノ曲集


ブラームスピアノ曲を最初に聴いたときはいまひとつ、ピンとこなかった。


シューベルトピアノ曲の地味さとはまた違う暗さを持ち、地味な内省的な楽曲が多く、気持ちにシンクロする部分が少なかった。どちらかといえば苦手な曲だった。しばらく聴かない時期が続いた。


バラード。ラプソディ。幻想曲集。そのほかの小品。


時々取り出して、何回も聴きなおすうちに、だんだん印象が変わってきた。おでんのダシがしみこんでくるように、二日目のカレーがおいしいように、ビールの肴のスルメのように、何とも言えない味わい深さが出てきたのだ。


今では出会って良かったと思える音楽のひとつとなっている。


ブラームス:後期ピアノ小品集

ブラームス:後期ピアノ小品集


エレーヌ・グリモーはフランス生まれだが、ドイツものを得意のレパートリーとしている。この姿勢はデビュー時から現在まで一貫していて、ブラームスもまた例外ではない。


このCDには、下記の曲が収録されている。

エレーヌ・グリモーブラームス:後期ピアノ小品集』

  • 幻想曲集(op.116)
  • 3つの間奏曲(op.117)
  • 6つの小品(op.118)
  • 4つの小品(op.119)


幻想曲集(op.116)。全7曲から構成されており、3つの奇想曲(第1曲、第3曲、第7曲)と、4つの間奏曲(第2曲、第4〜6曲)から成る。私は中でも、情熱的で技巧的な第3曲、第7曲が好きだ。


3つの間奏曲(op.117)。地味な曲が多いブラームスピアノ曲の中でもとくに地味な曲。しかし蔭のある美しさがすばらしいと思う。全体的に穏健で回顧的だ。過ぎ去った美しい日々を回想するような、慈しみに満ちた曲ばかり。


6つの小品(op.118)は、第2曲「間奏曲」が最もよく知られている。この曲は、ブラームスが書いた曲全体の中でも、最も美しい旋律だと思う。情熱的な第3曲「バラード」も好きだ。第6曲は圧倒的にすごい。


4つの小品(op.119)はブラームスが書いた最後のピアノ曲。回顧的で、しみじみとした詩情が特徴的だ。


エレーヌ・グリモーのピアノは瑞々しくて、雄弁だ。大家が過去を振り返るのではなく、これからというピアニストが取り組んだブラームスは一味もふた味も違う。枯れた花に水をやるように、献身的で、生命力にあふれた曲を聴かせてくれる。


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