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マッケラスによる小編成ブラームス


チャールズ・マッケラススコットランド室内管弦楽団によるブラームス交響曲全集を聴いている。


ブラームス交響曲というと「重厚、重々しい、分厚い」などという形容がぴったりだと思うが、このCDは全くそうではない。


軽妙かつスピード感に溢れていて、正統的な「ブラームスらしさ」とは正反対の演奏なのに、これがとても素晴らしい演奏となっている。


いや逆に、このスタイルこそブラームスが狙った本当の姿だとしたら…。


◇  ◇  ◇


例えば、カールスルーエにおける、交響曲第1番の初演は、49名の奏者によって行われた(うち弦楽器奏者は40名)。


当時、100名を超える大編成で演奏されることもあったが、ブラームス自身は、より明晰な響きを追求して、このくらいの規模を好んだらしい。


ブラームスが狙った響き。この全集の肝はそれだ。


■1番

Brahms: Symphony No. 1& Academic Festival Overture

Brahms: Symphony No. 1& Academic Festival Overture

小編成なのにセカセカしていないところが凄いところで、このあたり、指揮者のセンスが窺える。物足りなさがなくて、聴いた後は十分な満腹感がある。重心は高いのだが安定している。


■2番

Brahms: Symphony No.2

Brahms: Symphony No.2

精錬で透明度の高い響きが、夏の酷暑にぴったりだと思う。快速テンポで駆け上がる終楽章も良い。冬に聴いたら感想も変わるのだろうか。私はこの曲にもうすこし泰然としたスケール感を求めてしまう。


■3番・4番

Brahms: Symphonies No. 3 & No. 4

Brahms: Symphonies No. 3 & No. 4

全集の中では、全体的に3番と4番が並んで特に優れているように思う(さらにどちらかと言えば、4番の方が凄い)。奏者に近いバルコニー席などで鑑賞する、すぐれた演奏会のようだ。奏者の息遣いや緊張感、高揚、震えまでもが伝わってきそうな名演。3番や4番は「(後期作品だけあって)枯れている、暗い、ネチネチしている」と言われこともあるが、マッケラスの演奏で改めて聴いてみると、これら両曲は大変にシンプルで純度の高い、感性が凝縮したような芸術だと思った。


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