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大野和士による第2番「復活」


大野和士さんによる、マーラーの第2番「復活」を聴いている。


いま、この人が、日本人指揮者としては同世代のトップを走っているのではないだろうか。同世代のライバルとしては、佐渡裕さん、大植英次さんとか。「題名のない音楽会」の佐渡さんか、バイロイト経験のある大植さんか。誰がすぐれているかは別にして、揃って精進して、これからも良い音楽を聴かせてほしい(ツッコミ:偉そう)。


大植&佐渡両氏がバーンスタイン譲りの熱い音楽を身上としているのに対し、大野さんのアプローチは理知的。


2002年からベルギー王立歌劇場(通称:モネ劇場)の音楽監督を務め、この8月で任期を全うしようとしている。2008年9月1日からは、国立リヨン歌劇場の首席指揮者を務める。


Mahler: Sym No 2

Mahler: Sym No 2


マーラーの「復活」は、合唱入りの大規模な交響曲で、マーラーの作品中、一・二を争う人気曲だ。


「死んでも復活する」というメッセージを持った曲で、この「復活」という標題はマーラー自身がつけたものではないが、生と死についてのマーラーの思想を色濃く映す傑作となっている。


最終楽章である第5楽章では、合唱によって復活の賛歌が歌われ、邪悪なものが消し去られ浄化されたように終末を迎える。「復活」と呼ばれる所以は、ここにある。


◇  ◇  ◇


この曲の録音には、古くはバーンスタインニューヨーク・フィルハーモニックを振った名盤などがあった。マーラーに成り代わって、苦悩を選び、悲しみに咽ぶような、全身、共感に満ちた、ド迫力の熱演だった。


マーラー : 交響曲第2番ハ短調 「復活」

マーラー : 交響曲第2番ハ短調 「復活」


大野盤はどうか。


こちらはもう少しスマートで、より客観的に音楽と向き合っている。


感情に支配されず、崩れない。音色はどちらかというと細く、響きも繊細。重厚なマーラーの「復活」とは一線を画す演奏だが、その分、個々のパートの動きがよくわかる、透明度の高い演奏となっている。


しかし、透明度が高い=冷たい演奏というのとも違う。


温かく、彩りの豊かな演奏だ。音に艶があり、コクがある。弦の音色はうっとりするようでもあるし、金管もきらびやかに鳴る。そして、テンポも十分に緩急がつけられていて、表情が濃いと感じるほど。強弱もかなりメリハリが効いている。透明感のある演奏ながら、うねるような感覚を味わった。こういう陶酔の見せ方もあるのかと思った。


終演後、拍手があがる。完成度が高いためそうとは気付かずにいたのだが、ライブ録音だった。かなりの名演だと思う。



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